汚染関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 06:13 UTC 版)
1960年、ポリオワクチン製造のため使われていたアカゲザルの腎臓細胞がSV40ウイルス(シミアンウイルス40)に感染していたことが判明した。SV40は、1960年にサルに自然発生したウイルスとして感染が発見され、1961年には、SV40はネズミ目にできた腫瘍とされていた。近年、ウイルスは人間の癌として決まった形で発見されており、脳腫瘍と骨腫瘍、胸膜、腹膜中皮腫、非ホジキンリンパ腫の何種類かがウイルスによるものとされているが、SV40が癌の原因となると判明した訳ではない。SV40は1955〜1963年の間、不活性ワクチンの副作用(蓄積)として発見された。経口生ポリオワクチンでは発見されず、1955年-1963年の間にワクチンを9800万を超えるアメリカ人が一回からそれ以上接種し、SV40によって汚染されたワクチンを1,000,000-3,000,000人のアメリカ人が接種したとされ、分析後、汚染ワクチンが1980年まで東側諸国(ソビエト連邦、中国、日本、アフリカ諸国の複数国)で使われた可能性がある。これは何億人がSV40に曝されていた事になる。1998年、アメリカ国立がん研究所が大きな治験を始めて、汚染されたワクチンが癌情報(SEERデータベース)に加えられた。治験によって、SV40を含んだワクチンを接種した人が癌と診断されなかったため、汚染ワクチンによる癌は増加していないことが公式に発表され、1957年後半の汚染されたワクチンを接種した700,000人の癌発生率を、スウェーデンの大規模な治験では調査したところ、治験によってSV40を含んだポリオワクチンを接種した人の癌の増加はないと発表された。SV40が原因とされる癌については疑問が残るが、人の身体組織の中でSV40の発見は長期に渡る論争の解決になるとされる。 1958年から、米国国立衛生研究所は、経口生ポリオワクチンがサビン系統に対して最も安全であると決定を下した。1957〜1960年の間、ヒラリー・コプロウスキーは世界の至るところで、自分のワクチンを投与し続け、アフリカのベルギー領地(現在のコンゴ民主共和国、ルワンダ、ブルンジ)において、そのワクチンはおよそ100万人に投与された。治験の結果によりある議論が持ち上がる。経口生ポリオワクチンが原因でAIDSを発症したのではないかという仮説(AIDS仮説)は、危険性を顧みずに長年ワクチンを投与し続けたという非難となり、チンパンジーから人へのSIV感染を起こしたという状況が、今のAIDS問題に繋がる。しかし、これらの仮設はいくつかの治験により仮説が誤りであることを明らかになっている。 2004年、アフリカにおいて急性灰白髄炎のケースは減少しているものの、(アフリカ大陸の西部の孤立した地域では、現在でも時々発症する)近年、ポリオワクチン予防接種キャンペーンの反対活動が活発化しており、その原因はワクチン接種による不妊とされている。急性灰白髄炎が、ナイジェリアで再び猛威を振るい、アフリカの他の国にも及んでいる。これを受けて疫学者達は、アフリカの一部地域の人々が、自分の子供にポリオワクチンを受けさせることを拒んでいるためだと信じている。
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