比較法上の位置づけとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 比較法上の位置づけの意味・解説 

比較法上の位置づけ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 21:30 UTC 版)

家族法」の記事における「比較法上の位置づけ」の解説

英語の「family law」やドイツ語の「Familienrecht」も直訳すれば「家族法」であり、これらに相当する意味で使われることもある。 しかし、親族法相続法を一体として捉える思考比較法的には異例であるとも主張されている。 例えば、フランスではフランス民法典がその編製方式につきインスティテュティオネス方式採用していることもあり、日本民法第4編親族相当する部分は、「第1編 人事」の中に住所失踪宣告に関する規定並んで規定されているのに対し日本民法第5編相続相当する部分は、「第3編 所有権取得する態様」の「第1章 相続」として規定され相続続いて契約などに関する規定がある。同様にインスティテュティオネス方式採用していた旧民法も、現行民法第4編親族相当する部分は「人事篇」に、現行民法第5編相続相当する部分は「財産取得篇」に規定されていた。つまり、これらの場合には親族法相続法とが一体として捉えられているわけではなく、むしろ身分法的な親族法財産法的な相続法対置されるような分類なされていた。 ドイツ民法典においては日本同様に、その編製方式につきパンデクテン方式採用されており、その第4編第5編日本民法第4編第5編にほぼ対応するのである第4編の名称は日本語直訳すれば「家族法」となる Familienrecht であるが、それに加えて日本異なり第4編第5編の上概念相当する概念はなく、第5編中心とする相続に関する法は、財産に関する法と家族(あるいは人事身分に関する法の交錯領域考えられている。 このように日本相続法含めて家族法として理解されるようになったのは、以下の要因があると考えられている。 日本国憲法施行される前の日本民法は、人事身分規定する親族法家制度主としているが、一方で財産所属規定する相続法家督相続を主とした制度採用していたため、両者は家という概念通じて不可分の関係にあり、両者統一的に把握するのが自然であったこと。 日本固有の「家」制度存在ゆえ、旧民法起草当たっては、現行法親族法および相続法相当する部分は、フランス人ボアソナードには起草させず、日本人起草したこと。 現行民法については、第1編から第3編までが明治29年法律第89号別冊として定められ第4編及び第5編明治31年法律第9号別冊として定められたこと。 中川善之助により身分行為という概念提唱され家族法における法律行為については財産法とは異なった原理妥当するという考え支配的になったこと。 以上のような要因から、親族法相続法の上概念生まれ余地があったが、日本国憲法施行日同日施行され日本国憲法施行に伴う民法応急的措置に関する法律昭和22年法律74号)の施行により「家」制度廃止され、現在では親族法相続法との不可分性希薄になった。また比較法観点からも、親族法相続法とを一体として捉えることは異例であるとして、大村敦志などを中心に親族法相当する部分のみを家族法と呼ぶべきとする見解も有力に主張されている。 これに対し家族法相続法加えるべきとする少数説は、モンテネグロ一般財産法起草者ヴァルタザール・ボギシッチなどによって唱えられている。旧民法以来日本法立場は、日本政府対するボギシッチの助言を容れたものである。 なお日本法において、家族法という語は比較新しい用語である。本来は、民法典成立以前から存在した身分法の語を用いるのが一般的であったが、「身分」という語が前近代的な士農工商などの社会階級的な意味での身分連想させるため、第二次世界大戦後から民主化目指してきた日本においては家族法の語が多く用いられるようになったのであるまた、立法資料によれば日本民法典の編成において範を採ったドイツザクセン民法典は、親族編と相続編を一体とする身分法として、財産法の後に置くことが指摘されている。フランス民法典等と異なり、あくまで身分関係よりも個人意思に基づく契約による権利義務変動中心に捉えるべきという近代個人主義思想に基づく。ドイツ民法草案も同じ思想に基づくものと理解されている。

※この「比較法上の位置づけ」の解説は、「家族法」の解説の一部です。
「比較法上の位置づけ」を含む「家族法」の記事については、「家族法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「比較法上の位置づけ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「比較法上の位置づけ」の関連用語

1
10% |||||

比較法上の位置づけのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



比較法上の位置づけのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの家族法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS