死刑制度反対と死刑の執行命令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 23:30 UTC 版)
「千葉景子」の記事における「死刑制度反対と死刑の執行命令」の解説
かねてから死刑制度に批判的な立場であり、鳩山由紀夫内閣の法務大臣に就任する直前まで「死刑廃止を推進する議員連盟」に所属・活動していた。法務大臣就任後の記者会見で、法務大臣の権限である死刑執行の承認許可を出すかと問われた際、「慎重に検討したい」として明言を避けたが、2010年2月24日の法務委員会にて「死刑制度がなくなることが好ましい」と死刑制度には強い反対の姿勢を表明した。 こうした姿勢に、在任中に13人の死刑囚の死刑執行を命令した元法務大臣の鳩山邦夫は「職務怠慢などという軽いものではなくて、違法状態の放置だ。法治国家の法務大臣としてありえない。憲法に照らし合わせても不適格だ。」「任命責任?菅さんも死刑反対なんでしょう」と批判した。『産経新聞』も社説「主張」にて、「死刑執行の署名など法相としてなすべきことをしない人物が適任者とはいえない」と批判した。 しかし、その後同議連を脱退。2010年7月28日には、民主党政権下では初の死刑執行となる死刑囚2人(熊谷男女4人殺傷事件及び宇都宮宝石店放火殺人事件における死刑囚)の刑執行、自ら死刑執行に立ち会った。 かつて所属していた同議連は「死刑は国家による殺人行為」と強く抗議し、千葉との面会を求めたが拒否された。同議連の会長である亀井静香は「死刑をすべきではないという信念を持っていた(千葉)法相なので、考え方を変えるのなら、国民に説明しないと(いけない)」と主張の変遷を批判。社民党党首の福島瑞穂は、「政府内で大きな議論もなく、死刑が執行されたことは本当に残念だ。結局、自民党時代の政治と何も変わっていない」と、死刑制度に対する議論を行なっていないことに対する批判を展開させた。 一方、当時野党だった自民党などは、議員在職中には死刑を執行せず、落選後の国民の支持を失った法相が死刑執行をしたことについて批判した。ただし、執行署名は参議院議員としての任期満了日の前日の7月24日だったとされる。 千葉は大臣の就任当初から「執行しませんと言って終われるのか、それでいいのか」と思っており、また執行しないことが刑場公開など他の課題を進めることへの妨げになると考え、批判は覚悟の上で決断した。2010年1月頃から執行に向けて準備を進め、執行当日は「形式的には厳粛な形だが、ああいう非人間的で無機質な死に方、命の絶たれ方には非常に違和感を覚えた」とされる。 なお、千葉はかつて杉浦正健が2005年に法務大臣に就任した際の「自分の信念として死刑執行命令書にサインしない」という発言を撤回したことについて「死刑制度に疑問をお持ちであれば、死刑制度廃止に向けた姿勢を貫くべきではなかったのでしょうか」と、国会で杉浦大臣の一貫性の欠如を批判していた(杉浦は法相在任中に死刑執行はしなかった)。 そして、2010年8月27日には、初めて死刑執行をしている東京拘置所の刑場の一部を報道機関に部分的に公開した。公開を決断した理由の一つに裁判員裁判を挙げ「判決に関わる裁判員だけが悩むのではなく、国民的な議論が必要」と述べている。また、法務大臣として初めてとみられる死刑執行場面の立ち会いについては「執行についての明確な責任者、国家権力として少なくとも最終判断者が状況を知らないのは無責任であり違和感を覚えていた。そのため、執行を決断した場合には立ち会わねばならないと考えていた」ことを理由に挙げている。このことは海外のメディアなどでも取り上げられた。
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