歴史と詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/09 01:09 UTC 版)
「ゼネラル・エレクトリック GEnx」の記事における「歴史と詳細」の解説
GEとロールス・ロイスとプラット・アンド・ホイットニーの大手エンジンメーカー3社の競争の結果、GEnxと ロールス・ロイス トレント 1000 がボーイングによって選択された。プラット・アンド・ホイットニーが提案したエンジンはとても先進的なものだったが、試験不足のため受注に失敗した。 GEnxでは複合材が多用されており、ファンケースやGE90で投入したファンブレードなどで複合材を使用している。 また、GEnxとトレント1000は共通のインターフェースを備えている。これは民間航空機では初めてのことであり、これによって787各型は両方のエンジンをいつでも換装することが可能になった。787向けのエンジン市場は今後25年間で400億ドルが見込まれている。他の先進技術としては始動装置、防氷装置、空調装置などの各種装置をブリードエアシステム(エンジン圧縮機中間段から取り出した高温高圧の圧縮空気で駆動)から電気式に替え、更なる効率化を達成した。ただし、747-8に搭載される予定の推力66,500 lbf (296 kN) のGEnx-2B67は787向けとは違い従来型のブリードエアシステムを使用する。また、747に搭載する為に他の型よりも直径が小さくなっている。 GEnxの最初の試験は2006年から始まっており、53,000 ないし75,000 lbf(240 から 330 kN)の推力を出すと予想されている。2008年には運用開始される予定であったが、787の生産遅延の影響で遅れている。 ボーイング社は燃料消費を最大20%減らし、既存のターボファンよりも大幅に静粛なエンジンになる事を予想する。 エアバスA350 XWBの初期構想型にも採用が予定されていたが、その後計画が変更されたA350XWBでは今のところ採用に至っていない。これはA350XWBがボーイング787及び777の競合機であることが原因だと考えられている(特にボーイング777はGE製エンジン独占供給のため)。 GEnx計画において、GEは64%のリスクを負担している。他にはIHIが15%、アビオ S.p.A.が12%、ボルボ・エアロ、三菱重工業、サムスンテックウィンが9%を負担する。航空エンジンにおいてGEの最大のパートナーであるスネクマは、部品供給の可能性はあるが、GEnxよりもパワージェット事業に深く関わっている。 ブリードエアシステムを持たないGEnxの最初の試運転は2006年3月19日に行われた。2007年2月22日にはボーイング747-100の2番パイロン(左内側)に搭載されて初飛行した。 2013年11月23日に日本航空はボーイングからの同エンジンを搭載した航空機について飛行規程を改定するとの指示を受けて同エンジンを搭載しているBoeing787の投入路線を11月25日から変更して対応している。改訂は同エンジンの派生型であるGEnx-2Bエンジンを搭載したエアブリッジ・カーゴのボーイング747-8Fが2013年7月31日香港国際空港へ着陸進入中にGEnx-2B67エンジンが2基停止し、3基のエンジン内高圧コンプレッサーに破損が発見されロシア連邦航空局から安全勧告が出されたことを受けての措置でボーイングとしてはGEnxは影響の出やすい高度30,000フィート以上の雲中を飛行する際、飛行経路上に積乱雲などの活発な雲域がある場合は、その周囲約90km以内の飛行を禁止する規定を設定している。
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