歴史と実例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 21:24 UTC 版)
この行為を指して用いられる「ステルシング」という言葉は、少なくとも2014年のゲイコミュニティで確認することができる。 2017年に『コロンビアジャーナル・オブ・ジェンダー・アンド・ロー』に掲載されたステルシングに関する記事では 、アレクサンドラ・ブロツキーが被害者の経験を記述し、法的解釈や検討され得る法的措置について説明している。 ブロツキーは、様々なウェブサイトやフォーラムでステルシングがどのように語られているかについて記述しており 、これらのフォーラムがしばしばステルシングの成功を自慢したり、その方法を共有したりするものである事を指摘している。ステルシングは「被害者の身体を脅かし、尊厳を傷つけるもの」とされるが、加害者はそれを「男性の自然な本能によるものとして正当化する」という。コロンビア・ロースクールのスザンヌ・ゴールドバーグ教授は、ステルシング自体は新しいものではないが、インターネット上で共有されるようになったのは最近の事であるとする。ステルシングの手口は『The Experience Project』などのソーシャルメディアプラットフォームに投稿されている。 コンドームを付けてほしいという願いは、相手の反応への恐れや何らかの圧力、あるいは知識の欠如・働きかけへの不慣れなどによって、若者の性交渉において沈黙させられがちである。この問題に対処するためには、性交渉の相手がコンドームの必要性やその意義についての有益な情報を認識している事が重要である。(このアウトリーチのフォーラムには、 HIV / AIDSおよびSTIの健康的および不健康な人間関係の実践と予防プログラムの議論を促進するコミュニティ全体の介入が含まれる可能性がある)。予防のための安全教育等は学校が提供可能だが、この場合は学校に通わない子供が高リスクとなるため、コミュニティセンターや拘留センターなどの追加の手段も必要である。 ステルシングに関する統計は限られているが、ケリー・キュー・デイビスらの行った調査によると、対象の若年男性の9.0%がコンドームを拒否したことがあり、ここにはステルシングも含まれるという。また、The National Sexual Assault Hotlineは、ステルシングに関する電話相談を受けていると報告している。メルボルンに本拠を置く性的健康クリニックは近年の研究において、クリニックに通う患者のうち男性と性行為をした事のある女性および男性と性行為をした事のある男性を対象にステルシング被害経験を尋ね、状況要因を分析している。この調査では、女性の32%、同性と性的関係を持った男性の19%がステルシングを経験した事が報告されている。被害女性は現在セックスワーカーである可能性が高く、被害男性は不安やうつ病を報告する可能性が高かった。また、ステルシングを経験した女性と男性の両方の参加者は、ステルシングを性的暴行であると考える割合が被害を経験していない人々の3分の1であった。また、米国の近年の2つの調査では、飲酒をする若い男性のおよそ10%が14歳以降にステルシングを行った事があると回答している。これを行った男性はそうでない男性よりも性感染症の罹患率やパートナーが計画外の妊娠をしている割合が高かった。もう一つの研究では若い女性の12%が合意に基づかないコンドームの取り外しを経験しており、行為者は全ての例で男性であった。 フランスの男性外交官が「ステルシング」をした疑いで、パリ検察が捜査していることを、捜査関係者が2020年9月29日に明らかにした。
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