様々な選別方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:54 UTC 版)
IQの値は同じ人でもテストを受けるたびに異なる可能性があり、毎回同じIQレベルに属していると判定されるとは限らない。 (表はKaufman 2009のKABC-II norming studyより引用)生徒KABC-IIWISC-IIIWJ-IIIアシャー 90 95 111 ブリアナ 125 110 105 コリン 100 93 101 ダニカ 116 127 118 エルファ 93 105 93 フリッツ 106 105 105 ジョージ 95 100 90 ヘクター 112 113 103 イメルダ 104 96 97 ホセ 101 99 86 キョク 81 78 75 レオ 116 124 102 アメリカの多くの学校ではギフテッドの生徒を選別するために、能力や可能性を様々な方法で判定する。生徒の過去の作品集、教室での観察、達成度テストや知能検査などである。教育現場の専門家の多くは、選別の方法を何か一つ使用するだけでは正確にギフテッドを見極めることはできないと考えており、総合的な判断をする。 選別方法の一つとしてIQ(知能指数)テストの値が用いられることがある。1960年代以前、「ギフテッド」がIQによって定義されていた時代には、単純にIQの値(およそ130、標準偏差15)を基準にしてギフテッドであるか否かを判定していた。こうしたIQによる選別方法は研究者たちの間では古い考え方であるが、それにも関わらず、まったく無意味だとは言えないために、今でも他の判定基準と併用して採用している学校は少なくない。現在、ギフテッドの概念はより広範に考察されているが、単一の定義・選定基準はなく、識者の考えも統一されていないのが現状である。現代ではIQがギフテッドを選別する単一の尺度として支持されなくなっているが、生徒が非常に高いIQを示した場合は、学術において高い潜在能力を持っている可能性もあると推測され、ある程度の目安にはなる。したがって非常に高いIQを持ちながら平均以下の成績しか残していない生徒がいた場合には、注意深い観察が必要である。 IQの判定はテストの種類、作製者によっても基準が異なる。またIQテストは、高いIQの者同士の優劣を判定するには妥当ではないという欠陥がある。IQはある人が特定の分野において実質的な創造的貢献を残すギフテッドかどうか判断するものでもなく、またどの程度のレベルのギフテッドであるかを測定できるものではない。ウェクスラー成人知能検査のIQ最高値が160であることから、ギフテッドの判別に関する著者の一部にはスタンフォード・ビネー法 L-M版を並外れたギフテッドを選別できる唯一のテストとして推奨する者もいる。しかし、スタンフォード・ビネー法 L-M版は廃れた測定方法を用いており、これまでアメリカにおいても標準的なテストとして用いられたことがない。 幼い子供のIQ測定は、さらに議論が必要となる。またIQテストは、一般的に言語能力や数学的な能力に重点を置いているため、芸術や文学の分野の才能は得点では反映されにくい。現在、欧米ではIQテスト以外で芸術性や独創性などを測る試験を行なう学校も多くある。作品や創造力、独創性、芸術性、思考など多方面から才能を理解する必要がある。
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