様々な起源
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孤島での生活を題材にしたのはダニエル・デフォー『ロビンソン漂流記』(1719年)であり、これを意識して風刺の物語として書かれたのがジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』(1726年)である。サミュエル・バトラーの『エレホン - 山脈を越えて - 』(1872年) も、冒険よりもスウィフト風の社会風刺をテーマとしている。シモン・ティソ・ド・パト(英語版)の『ジャック・マッセの旅と冒険』(1710年)は、先史時代の動植物を描いている。ロバート・ポルトック(英語版)の『ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険』(1751年) は、デフォーとスウィフトに影響を受けた18世紀の空想的航海を描いており、主人公が険しい峰で囲まれた絶海の孤島で翼を持つヒト型の種を発見する物語である。 未知の土地にユートピアを発見するという物語は、トマス・モア『ユートピア』(1516年)に始まり、ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』(1933年)ではチベット奥地にシャングリラと呼ばれる理想郷を発見する。 地球空洞説については、地球内部の理想郷を描く、ジョン・クリーブス・シムズ(英語版)の『シムゾニア・ある発見航海』(1823年)があり、こちらがロストワールドものの起源とされることもある。エドガー・アラン・ポー『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(1838年) は、海洋での様々な冒険ののちに地球内に向かう穴の存在を示唆しており、これがベルヌ『地底旅行』や、バローズ「ペルシダー・シリーズ」(1922-63年)にも影響を与えた。 高山宏は、17世紀以降はシノワズリー(支那趣味)、エジプトロジー(エジプト学)が流行しており、1790年にジェイムズ・ブルースの冒険紀行『ナイル川の水源を見い出す旅。1768-73』がコールリッジ『クーブラ・カーン』やポーに影響を与えたとされ、またこの頃ロゼッタ・ストーンの発見、解読があったことも、エジプトをはじめとする文明の起源の探求、オリエンタリズムが文芸のテーマとされるようになったと指摘し、またハイデガーの「偶然に身をゆだねよう、そうすれば全一のことばが究極の意味の『中心』へと汝を導く」という言葉が『地底旅行』のメッセージであり、「『ロースト・ワールド』は汝がこれを開けない限りにおいて『失われた』世界であるのに過ぎない」と述べている。
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