楕円曲線の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/23 04:50 UTC 版)
次の楕円曲線の族を考える。 y 2 = x ( x − 1 ) ( x − λ ) {\displaystyle y^{2}=x(x-1)(x-\lambda )} ここに λ は 0 でも 1 でもない複素数とする。曲線の一次コホモロジー群のホッジフィルトレーションは2つのステップ F0 と F1 とを持っている。しかし、F0 は完全コホモロジー群であるので、興味のあるフィルトレーションの項は、唯一、F1 である。この項は H1,0 であり、1-形式の正則調和形式の空間である。 楕円曲線であるので、すべての λ に対し H1,0 は微分形式 ω = dx/y で貼られ、( H1,0 の次元は)1次元である。曲線のホモロジー群の明示的な表示を見つけるために、曲線はリーマン球面上の次の多値函数のグラフとして表現できることに注意する。 y = x ( x − 1 ) ( x − λ ) {\displaystyle y={\sqrt {x(x-1)(x-\lambda )}}} この函数の分岐点は 0 と 1 と λ と ∞ の4点であり、一つは 0 から 1 への分岐であり、もう一つは λ から ∞ への分岐の2つの分岐を作ると、函数の分岐点を消去されるので、多値函数は2つのシートへ切り分けられる。十分に小さな ε > 0 を固定する。これらのシートのうちのひとつのシート上で、曲線 γ(t) = 1/2 + (1/2 + ε)exp(2πi t) を追ってみると、十分に小さな ε に対し、この曲線は分岐した片方のシートである [0, 1] に囲まれているので、もう一つの分岐したシート [λ, ∞] と交わることはない。さらに、一つのシート上で 0 ≤ t ≤ 1/2 に対して、δ(t) = 1 + 2(λ − 1)t として定義される曲線 δ(t) を追うと、1/2 ≤ t ≤ 1 に対し、もう一つの別なシートの上で δ(t) = λ + 2(1 − λ)(t − 1/2) として繋がっている。この曲線の各々の半分は、点 1 と点 λ をリーマン面の2つのシート上で繋いでいる。ザイフェルト–ファン・カンペンの定理により、曲線のホモロジー群はランクが 2 の自由群である。曲線は一点 1 + ε で交わるので、曲線は一つの点で 1 + ε で出会い、どちらのホモロジー類も他のホモロジー類の固有な積ではなく、よって、それらは H1 の基底を形成する。従って、この族の周期行列は、 ( ∫ γ ω ∫ δ ω ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}\int _{\gamma }\omega \\\int _{\delta }\omega \end{pmatrix}}} である。この行列の最初の要素は、A として、第二の用途は B として省略して書く。 この双線型形式 √(−1)Q は正定値である。何故ならば、局所的には常に ω を f dz と書くことができ、よって − 1 ∫ X 0 ω ∧ ω ¯ = − 1 ∫ X 0 | f | 2 d z ∧ d z ¯ > 0. {\displaystyle {\sqrt {-1}}\int _{X_{0}}\omega \wedge {\bar {\omega }}={\sqrt {-1}}\int _{X_{0}}|f|^{2}\,dz\wedge d{\bar {z}}>0.} となるからである。ポアンカレ双対性により γ と δ は、互いに、H1(X0, Z) の基底であるコホモロジー類 γ* と δ* に対応する。このことより、 ω はγ* と δ* の線型結合として書くことができる。この係数は、双対基底 γ と δ について ω を評価することにより、次の式で与えられる。 ω = A γ ∗ + B δ ∗ . {\displaystyle \omega =A\gamma ^{*}+B\delta ^{*}.} これらの項で Q の正定値性を示すと、 − 1 ∫ X 0 A B ¯ γ ∗ ∧ δ ¯ ∗ + A ¯ B γ ¯ ∗ ∧ δ ∗ = ∫ X 0 Im ( 2 A ¯ B γ ¯ ∗ ∧ δ ∗ ) > 0 {\displaystyle {\sqrt {-1}}\int _{X_{0}}A{\bar {B}}\gamma ^{*}\wedge {\bar {\delta }}^{*}+{\bar {A}}B{\bar {\gamma }}^{*}\wedge \delta ^{*}=\int _{X_{0}}\operatorname {Im} \,(2{\bar {A}}B{\bar {\gamma }}^{*}\wedge \delta ^{*})>0} となる。γ* と δ* は整数であるので、それらは共役については不変である。さらに、γ と δ は一点で交わり、その点は H0 で生成され、γ* と δ* のカップ積は X0 の基本類である。結局、この積分は、 Im 2 A ¯ B {\displaystyle \operatorname {Im} \,2{\bar {A}}B} に等しい。積分は、ゼロよりも大きい(ゼロを含まない)正の値で、従って A も B もゼロではありえない。 ω による再スケーリングの後、周期行列はある複素数 τ に対し、ゼロを除く正の値を虚部にもつ (1 τ) に等しいことを仮定する。これは GL(1, C) 作用から来る曖昧さを消去する。従って、SL(2, Z) の作用は普通の上半平面上のモジュラ群の作用である。結局、周期領域はリーマン面である。これは楕円曲線の格子としての普通のパラメトライズとなっている。
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楕円曲線の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/04 06:37 UTC 版)
楕円曲線に対し、同種の意味は次のように定式化することができる。 E1 と E2 を体 k 上の楕円曲線とする。E1 と E2 の間の同種写像は、定数ではない多様体の射 f : E1 → E2 で、基点を保存するような射である(つまり、f は E1 の恒等元を E2 の恒等元へ写す)。 2つの楕円曲線の間のすべての定数でない射は自動的に有限ファイバーを持つ全射となるので、これは上で示したのと同じ概念となる。 2つの楕円曲線 E1 と E2 に対して同種写像 E1 → E2 が存在するとき、E1 と E2 は同種(isogenous)であるという。これは同値関係であり、双対同種(英語版)(dual isogeny)が存在するため対称となる。上記のように、全ての同種写像は楕円曲線の k に値を持つ点の群の準同型を誘導する。
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