調和微分形式
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 08:37 UTC 版)
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調和微分形式とは数学において曲面上の実 1-形式 ω として、ω とその共役 1-形式 ω* 両方が閉形式のことをいう。
解説
2-次元実解析多様体の上で定義された実 1-形式の場合を考える。さらに複素微分形式の実部となる実 1-形式を考える。 ω = A dx + B dy とし、形式的に 共役 1-形式を ω* = A dy − B dx と定義する。
動機
調和微分形式は明らかに複素解析に関係している.複素数 z を実部と虚部に分けて、それぞれを x と y とし、 z = x + iy とする.複素解析の観点から、 ω + iω* = (A − iB)(dx + i dy) となり、従って dz がゼロに近付くとき商 (ω + iω*)/dz は極限を取る。言い換えると、ω* は、微分(解析性)の概念に関連している。もうひとつの概念である虚数単位は、 (ω*)* = −ω である(まさに i2 = −1 と同じである)。
与えられた函数 f に対し、ω = df とする。つまり
ここに ∂ は偏微分を表す。すると、
となる。ここで注意することは はいつもゼロとは限らないことで、実際、
であり、ここに
が示される。
コーシー・リーマンの方程式
上で見たように、ω と ω* がともに閉形式のときに、1-形式 ω を 調和的 という。このことは ∂A/∂y = ∂B/∂x (ω が閉形式のとき) でかつ ∂B/∂y = −∂A/∂x (ω* が閉形式のとき) であることを意味する。これらは、A − iB のコーシー・リーマンの方程式という。普通、これらは、u(x, y) + iv(x, y) の項で表すと、
となる。
結果
- 調和微分 (1-形式) は正確に(解析的)複素微分形式の実部に一致する。[1] これを証明するためには、u + iv が、x + iy で局所的に解析函数であるときに、コーシー・リーマンの方程式を満たすことを示せばよい。もちろん、解析函数 w(z) = u + iv は、何らか(すなわち ∫ w(z) dz)の局所での微分である。
- ω が調和微分形式であれば、ω* もまた調和微分形式である。[1]
関連項目
参考文献
- 森田茂之『微分形式の幾何学1』岩波書店、1996年 ISBN 4-00-010633-3
- 森田茂之『微分形式の幾何学2』岩波書店、1997年 ISBN 4-00-010639-2
調和形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/18 02:16 UTC 版)
詳細は「ホッジ理論」を参照 調和函数に関する研究を一般化するものの一つとして、リーマン多様体上の調和形式及びそれに関連したコホモロジー論がある(同様にベクトル値調和函数や二つのリーマン多様体間の調和写像なども定義できる)。例えば、リーマン多様体内の曲線(つまり、実数直線 R 内の区間からリーマン多様体への写像)が調和となるための必要十分条件はそれが測地的であることである。 滑らかな計量を持つ向き付け可能なコンパクト多様体 M 上の微分作用素の成すド・ラム複体 0 → Ω 0 ( M ) → d 0 Ω 1 ( M ) → d 1 ⋯ ⟶ d n − 1 Ω n ( M ) → d n 0 {\displaystyle 0\to \Omega ^{0}(M){\stackrel {d_{0}}{{}\to {}}}\Omega ^{1}(M){\stackrel {d_{1}}{{}\to {}}}\dotsb {\stackrel {d_{n-1}}{{}\longrightarrow {}}}\Omega ^{n}(M){\stackrel {d_{n}}{{}\to {}}}0} H k ( M ) = ker d k / im d k − 1 {\displaystyle H^{k}(M)=\ker d_{k}/\operatorname {im} d_{k-1}} はド・ラムコホモロジーと呼ばれる。M の計量が誘導する内積に関して、外微分 d に対する形式的な随伴作用素として余微分(英語版) δ を定義することができる。 このとき、微分形式上のラプラス作用素が Δ = dδ + δd で定義され、調和形式の空間 H Δ k ( M ) = { α ∈ Ω k ( M ) ∣ Δ α = 0 } {\displaystyle {\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)=\{\alpha \in \Omega ^{k}(M)\mid \Delta \alpha =0\}} が定義される。 d H Δ k ( M ) = 0 {\displaystyle d{\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)=0} であるから自然な写像 φ : H Δ k ( M ) → H k ( M ) {\displaystyle \varphi \colon {\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)\to H^{k}(M)} が存在するが、ホッジの定理の第一部はこの φ がベクトル空間の同型となることを述べる。すなわち、M 上の各ド・ラムコホモロジー類に対し、その代表元として調和形式が一意的に取れる。 同様のことは、コンパクト多様体上の楕円型複体に対して述べられる。すなわち、楕円型複体のコホモロジーは調和切断の空間と自然に同型であり、各コホモロジー類は調和な代表元を一意に持つ。
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