調和型湖沼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 22:57 UTC 版)
湖沼に生活する生物にとって必要な物質(水中の成分)が適度にあり、生産者と消費者がバランスを保ち、全生産および部分生産が調和を保っている湖沼。栄養塩類の量に応じて以下のように分類されることが多い。 富栄養湖(Eutrophic) リンや窒素といった栄養塩類濃度が高く、生物生産活動が極めて活発。その一方、植物プランクトンが大発生して、水質汚濁が起きやすく水利用に対して支障をきたすこともある。OECDによる栄養レベルによる調和型湖沼の分類基準では、リン濃度が35~100mg/m3、クロロフィルa濃度が平均8~25mg/m3、最高値が25~75mg/m3、透明度が平均1.5~3m、最低値が0.7~1.5m程度の湖を指す。日本では、サロマ湖や諏訪湖、中海などが該当する。過栄養湖(Hypereutrophic) 上記の富栄養湖基準を大きく上回る湖を、特に過栄養湖や超富栄養湖と呼ぶことがある。OECDの基準では、リン濃度が100mg/m3以上、クロロフィルa濃度が平均25mg/m3以上、最高値が75mg/m3以上、透明度が平均1.5m以下、最低値が0.7m以下に該当する湖を指す。日本ではおおむね都市近郊に多く、手賀沼や印旛沼、霞ヶ浦などが該当する。 中栄養湖(Mesotrophic) 栄養塩類濃度が中程度。OECDの基準では、リン濃度が平均10~35mg/m3、クロロフィルa濃度が平均2.5~8mg/m3、最高値が8~25mg/m3、透明度が平均3~6m、最低値が1.5~3mの範囲にある湖を指す。日本では、琵琶湖や浜名湖、厚岸湖などが該当する。 貧栄養湖(Oligotrophic) 栄養塩類濃度が低いため、生物生産活動があまり活発ではなく、プランクトンや魚類は比較的少ない。透明度が高く、水が澄んで見える。OECDの基準では、リン濃度が平均10mg/m3以下、クロロフィルa濃度が平均2.5mg/m3以下、最高値が8mg/m3以下、透明度が平均6m以上、最低値が3m以上の湖を指す。日本では、十和田湖や野尻湖、西湖などが該当する。極貧栄養湖(Extreme oligotrophic) 上記の貧栄養湖基準を大きく下回る湖を、特に極貧栄養湖と呼ぶことがある。OECDの基準では、リン濃度が4.0mg/m3以下、クロロフィルa濃度が平均1.0mg/m3以下、最高値が2.5mg/m3以下、透明度が平均12m以上、最低値が6.0m以上に該当する湖を指す。日本では、摩周湖や倶多楽湖、本栖湖などが該当する。
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