楕円座標とは? わかりやすく解説

直交曲線座標

(楕円座標 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/28 09:26 UTC 版)

数学において、直交曲線座標(ちょっこうきょくせんざひょう)、直交座標(ちょっこうざひょう、: orthogonal coordinates)とは、座標超曲面同士が互いに直交するようなd個の座標q = (q1, q2, ..., qd)の組として定義される(注:上付き添え字は指数ではなく添え字 (Einstein notation) を意味する)。ある座標qkに対する座標超曲面とは、qkが定数となる超曲面(場合によっては曲線、曲面)のことである。たとえば、3次元のデカルト座標系 (x, y, z) では「x = 定数」、「y = 定数」、「z = 定数」は座標超曲面であるが、これらが互いに直角に交るので、直交座標系である。直交曲線座標は曲線座標の特殊な例である。

動機

矩形グリッドに施される等角写像。曲がったグリッドの直交性は保持されている。

ベクトル同士の演算や物理法則の導出は、通常、デカルト座標系 (: Cartesian coordinates) で行うのが最も簡単であるが、量子力学における場の理論、流体力学、等角性を保持する地図投影正角図法)、電気力学プラズマ物理学化学種拡散等において生じるような境界値問題においては、デカルト座標ではない直交座標(非デカルト直交座標、即ち直交座標)がよく用いられる。

非デカルト直交座標の利点は、問題の対称性に合わせて座標を選ぶことができる点である。例えば、地面(あるいは他の障害物)から遠く離れた場所での爆発による圧力波は、デカルト座標では3次元空間に依存するが、球座標では問題はほぼ1次元となる(圧力波は時間と中心からの距離のみに依存するため)。デカルト座標では偏微分方程式を含む2次元の境界値問題を解かなければならないが、円筒座標では偏微分方程式を用いずとも、常微分方程式で表現可能1次元の問題に帰着される。

一般的な曲線座標英語版 (: curvilinear coordinates) ではなく、直交曲線座標を好まれる理由は、これを用いたほうが単純であるからである。直交しない座標では多くの複雑な問題が発生する。例えば、直交曲線座標では、多くの問題が変数分離によって解決されることがある。変数分離とは、複雑なd次元の問題を、「既知の関数で解くことができるd個の1次元の問題」に変換する数学的手法である。多くの方程式は、ラプラス方程式ヘルムホルツ方程式に還元することができる。ラプラス方程式は、下表13番に示す座標系(トロイダル座標を除く下表14番に示す座標)で変数分離可能であり、ヘルムホルツ方程式は、下表11番の座標系で変数分離可能である[1][2]

直交曲線座標は、計量テンソルの非対角項を決して持たない。つまり、無限小の2乗距離、即ち ds2 は、常に、「無限小の座標変位の2乗の総和」として書くことができる。

即ち、:

2次元直交座標の可視化。1つの座標以外を一定にして得られる曲線が、基底ベクトルとともに示されている。基底ベクトルは長さが等しくないことに注意すること:等しい必要はなく、直交していればよい。

ここで 'r は何らかの点を表し、q i は基底ベクトルを抽出した座標である。つまり、1つの座標以外を固定して曲線を得、固定しない座標をパラメトリック曲線のように変化させ、パラメータ(変化する座標)に対する曲線の微分を、その座標の基底ベクトルとする。

なお、ベクトルは必ずしも等しい長さとは限らない。座標のスケールファクターとして知られる便利な関数は、単に基底ベクトル


楕円座標

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 14:23 UTC 版)

ベルトラン・ダルブーの定理」の記事における「楕円座標」の解説

x {\displaystyle x} 軸上の2点 ( ± c , 0 ) {\displaystyle (\pm c,0)} と任意の点 ( x , y ) {\displaystyle (x,y)} との距離は r 1 = ( x − c ) 2 + y 2 {\displaystyle r_{1}={\sqrt {(x-c)^{2}+y^{2}}}} および r 2 = ( x + c ) 2 + y 2 {\displaystyle r_{2}={\sqrt {(x+c)^{2}+y^{2}}}} により与えられる。このとき、ポテンシャル V = 1 r 1 r 2 [ U 1 ( r 2 + r 1 2 ) + U 2 ( r 2 − r 1 2 ) ] {\displaystyle V={\frac {1}{r_{1}r_{2}}}\left[U_{1}\left({\frac {r_{2}+r_{1}}{2}}\right)+U_{2}\left({\frac {r_{2}-r_{1}}{2}}\right)\right]} により記述される系は楕円座標 ( μ , ν ) {\displaystyle (\mu ,\nu )} により変数分離される。その定義は μ = r 2 + r 1 2 ,     ν = r 2 − r 1 2 {\displaystyle \mu ={\frac {r_{2}+r_{1}}{2}},\ \ \nu ={\frac {r_{2}-r_{1}}{2}}} であり、ハミルトニアンは H = 1 2 ( μ 2 − c 2 ) p μ 2 + ( c 2 − ν 2 ) p ν 2 μ 2 − ν 2 + U 1 ( μ ) + U 2 ( ν ) μ 2 − ν 2 , {\displaystyle H={\frac {1}{2}}{\frac {(\mu ^{2}-c^{2})p_{\mu }^{2}+(c^{2}-\nu ^{2})p_{\nu }^{2}}{\mu ^{2}-\nu ^{2}}}+{\frac {U_{1}(\mu )+U_{2}(\nu )}{\mu ^{2}-\nu ^{2}}},} 独立積分は Φ = 1 2 ν 2 ( μ 2 − c 2 ) p μ 2 + μ 2 ( c 2 − ν 2 ) p ν 2 μ 2 − ν 2 + ν 2 U 1 ( μ ) + μ 2 U 2 ( ν ) μ 2 − ν 2 {\displaystyle \Phi ={\frac {1}{2}}{\frac {\nu ^{2}(\mu ^{2}-c^{2})p_{\mu }^{2}+\mu ^{2}(c^{2}-\nu ^{2})p_{\nu }^{2}}{\mu ^{2}-\nu ^{2}}}+{\frac {\nu ^{2}U_{1}(\mu )+\mu ^{2}U_{2}(\nu )}{\mu ^{2}-\nu ^{2}}}} である。楕円座標を用いて積分される系としては重力2中心問題知られている。

※この「楕円座標」の解説は、「ベルトラン・ダルブーの定理」の解説の一部です。
「楕円座標」を含む「ベルトラン・ダルブーの定理」の記事については、「ベルトラン・ダルブーの定理」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「楕円座標」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「楕円座標」の関連用語

楕円座標のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



楕円座標のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの直交曲線座標 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのベルトラン・ダルブーの定理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS