マシュー函数
(マシュー方程式 から転送)
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数学の分野におけるマシュー函数(マシューかんすう、英: Mathieu function 、マチウ函数とも書かれる)とは、ある特定の特殊函数のことで、以下に挙げるような様々な応用数学の問題を扱う上で有用となるものである。
- 楕円型太鼓膜の振動
- 質量分析のための四重極型質量分析計や四重極イオントラップ
- 光格子における極低温原子のような、周期的媒質における波の運動
- 強制振動子における係数励振現象
- 一般相対性理論における厳密な平面波解
- 回転する電気双極子に対するシュタルク効果
- 一般に、楕円柱座標における分離可能な微分方程式の解
これらは、Émile Léonard Mathieu (1868) の第一問題として提唱されたものであった。
マシュー方程式
マシューの微分方程式(Mathieu's differential equation)の標準形は次のようなものである。
マシュー正弦とマシュー余弦
固定された a および q に対し、マシュー余弦(Mathieu cosine)
周期解
ここで、例えば
マシュー方程式
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マシューの微分方程式(Mathieu's differential equation)の標準形は次のようなものである。 d 2 y d x 2 + [ a − 2 q cos ( 2 x ) ] y = 0. {\displaystyle {\frac {d^{2}y}{dx^{2}}}+[a-2q\cos(2x)]y=0.} このマシュー方程式は、ただ一つの調和モードを持つヒル方程式である。 この方程式と密接に関連するのは、次のようなマシューの修正微分方程式(Mathieu's modified differential equation)である。 d 2 y d u 2 − [ a − 2 q cosh ( 2 u ) ] y = 0. {\displaystyle {\frac {d^{2}y}{du^{2}}}-[a-2q\cosh(2u)]y=0.} これは u = i x {\displaystyle u=ix} を代入することで従う。 これら二つの方程式は、二次元のヘルムホルツ方程式を楕円座標系(英語版)で表現し、二変数に分離することで得られる 。この事実から、これらの方程式はそれぞれアンギュラ(angular)およびラディアル(radial)マシュー方程式としても知られている。 t = cos ( x ) {\displaystyle t=\cos(x)} を代入することで、マシュー方程式は次の代数形式に変換される。 ( 1 − t 2 ) d 2 y d t 2 − t d y d t + ( a + 2 q ( 1 − 2 t 2 ) ) y = 0. {\displaystyle (1-t^{2}){\frac {d^{2}y}{dt^{2}}}-t\,{\frac {dy}{dt}}+(a+2q(1-2t^{2}))\,y=0.} この方程式は t = − 1 , 1 {\displaystyle t=-1,1} において二つの確定特異点を持ち、無限大において一つの不確定特異点を持つ。このことは、一般に(他の多くの特殊函数とは異なり)マシュー方程式の解は超幾何函数を用いて表現できないことを意味する。 マシューの微分方程式は、列車が走る時の鉄道レールの安定性や、人口動態の季節性、四次元波動方程式、リミットサイクルの安定性に関するフロケ理論など、多くの文脈において数理モデルとして扱われる。
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