VSOP87
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 03:58 UTC 版)
VSOP87では、特に上述の長周期項への取り組みの結果、精度は向上しているが計算手法そのものはあまり変っていない。VSOP87は水星、金星、月-地球系の重心について元期2000の前後4000年にわたって誤差が 1″ 以内の精度を保証している。同じ精度が木星と土星についてはがJ2000の前後2000年、天王星と海王星については前後6000年にわたって保証されている。 この精度と、自由にアクセスできることも相俟って、VSOP87は現在最も普及した惑星軌道計算ソースである。たとえば、CelestiaやOrbiterにも用いられている。 他にも、楕円座標系だけでなくデカルト座標系も扱えるようになっている。摂動論では伝統的に惑星の基本軌道を下に示す6つの軌道要素(運動方程式は二階の微分方程式であるから2つの積分定数が必要となるが、これが3次元方向それぞれについて必要なため6つになる)で表わす。 a 長半径 e 離心率 i 傾斜角 Ω 昇交点黄経 ω 近日点引数(もしくは近日点黄経 ϖ = ω + Ω) T 近日点通過時刻(もしくは平均近日点角 M) 摂動がなければこれらの軌道要素は定数となるため、摂動の基本項とするのに理想的である。摂動を取り込むと、これらはゆっくり変動し、できるだけ多くの摂動を計算に取り込むことが望ましい。ある時刻の軌道要素が結果として得られ、これから惑星の位置を直交座標系 (X,Y,Z) なり球面座標系(黄経、黄緯、日心距離)なりで計算できる。これらの日心座標はたとえば地心座標などの他の視点に容易に換算できる。座標変換には直交座標 (X,Y,Z) を用いればベクトル加算で平行移動(例えば日心から地心へ)が、行列乗算で回転(黄道座標から赤道座標)が計算できるため、多くの場合で便利である。 VSOP87は6つの表にまとめられている[訳語疑問点]。 VSOP87 J2000.0を分点とする[訳語疑問点]日心黄道座標軌道要素:6つの軌道要素。軌道が時間と共にどのように変化していくかを見るのに理想的。 VSOP87A J2000.0を分点とする[訳語疑問点]日心黄道直交座標:地心座標を得たり、惑星の位置をプロットしたりするのに最も便利 VSOP87B J2000.0を分点とする[訳語疑問点]日心黄道球面極座標 VSOP87C その日を分点とする[訳語疑問点]日心黄道直交座標:地心座標や出・没・南中時刻、ある地点における地平座標の計算に便利< VSOP87D その日を分点とする[訳語疑問点]日心黄道球面極座標 VSOP87E J2000.0を分点とする[訳語疑問点]重心黄道直交座標:太陽系の重心を基準とする座標
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