楕円対数とは? わかりやすく解説

楕円対数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 09:49 UTC 版)

楕円曲線」の記事における「楕円対数」の解説

前述通りヴァイエルシュトラスの楕円関数によって定義される写像 z ↦ [ 1 : ℘ ( z ) : ℘ ′ ( z ) ] {\displaystyle z\mapsto [1:\wp (z):\wp '(z)]} が群同型であることから、その逆写像群同型となる。なおかつヴァイエルシュトラスの楕円関数性質から、この逆写像楕円積分用いてあらわされる。具体的に楕円曲線 E が E : y 2 = f ( x ) = 4 x 3 − g 2 x − g 3 {\displaystyle E:y^{2}=f(x)=4x^{3}-g_{2}x-g_{3}} とあらわされているとき、ヴァイエルシュトラス関数周期 ω 1 , ω 2 {\displaystyle \omega _{1},\omega _{2}} によって生成される格子をΛとおくと、楕円曲線上の点 P = [ 1 : x : y ] ∈ E ( R ) {\displaystyle P=[1:x:y]\in E(\mathbb {R} )} に対し、 ϕ ( P ) ≡ { 0 P = O ∫ x ∞ d t f ( t ) y ≥ 0 − ϕ ( − P ) y < 0 ( mod Λ ) {\displaystyle \phi (P)\equiv {\begin{cases}0&P=O\\\displaystyle \int _{x}^{\infty }{\frac {dt}{\sqrt {f(t)}}}&y\geq 0\\-\phi (-P)&y<0\end{cases}}{\pmod {\Lambda }}} と定めると、 φは E(R) から R/Λ への群同型を定める。そこで、E(K) の生成元を P 1 , P 2 , … , P r {\displaystyle P_{1},P_{2},\ldots ,P_{r}} とおくと K-有理点 P = m 1 P 1 + m 2 P 2 + ⋯ + m r P r + T ∈ E ( K ) {\displaystyle P=m_{1}P_{1}+m_{2}P_{2}+\cdots +m_{r}P_{r}+T\in E(K)} (Tは有限位数の点)に対し ϕ ( P ) ≡ ϕ ( m 1 P 1 + m 2 P 2 + ⋯ + m r P r + T ) ≡ m 1 ϕ ( P 1 ) + m 2 ϕ ( P 2 ) + ⋯ + m r ϕ ( P r ) + ϕ ( T ) ( mod Λ ) {\displaystyle \phi (P)\equiv \phi (m_{1}P_{1}+m_{2}P_{2}+\cdots +m_{r}P_{r}+T)\equiv m_{1}\phi (P_{1})+m_{2}\phi (P_{2})+\cdots +m_{r}\phi (P_{r})+\phi (T){\pmod {\Lambda }}} が成り立つ。この写像φを楕円対数と呼ぶ。 通常の対数関数の一次形式の下からの評価に関するベイカーの定理に対応し、楕円対数の下からの評価が知られている。次の不等式が成り立つような、E と代数体 K およびランク r にのみ依存する計算可能な定数 c 1 , c 2 , c 3 {\displaystyle c_{1},c_{2},c_{3}} がとれる。 B = max | m i | {\displaystyle B=\max \left|m_{i}\right|} とおくと、格子Λ上の任意の点 l 1 ω 1 + l 2 ω 2 {\displaystyle l_{1}\omega _{1}+l_{2}\omega _{2}} に対して | m 1 ϕ ( P 1 ) + m 2 ϕ ( P 2 ) + ⋯ + m r ϕ ( P r ) + ϕ ( T ) + l 1 ω 1 + l 2 ω 2 | > expc 1 ( logB + c 2 ) ( loglogB + c 3 ) . {\displaystyle \left|m_{1}\phi (P_{1})+m_{2}\phi (P_{2})+\cdots +m_{r}\phi (P_{r})+\phi (T)+l_{1}\omega _{1}+l_{2}\omega _{2}\right|>\exp -c_{1}(\log B+c_{2})(\log \log B+c_{3}).} 一方 P が整数点であるとき、この絶対値は B に対して指数関数的に減少する。というのは、P が整数点であるとき x = exph x ( P ) {\displaystyle x=\exp h_{x}(P)} となる一方標準的高さは m 1 , m 2 , … , m r {\displaystyle m_{1},m_{2},\ldots ,m_{r}} の正定値二次形式してあらわされることから、対数的高さも正定値二次形式近似されるので、 ϕ ( P ) = O ( − | x | 1 / 2 ) = O ( exp − ( h x ( P ) / 2 ) ) = O ( expc 4 B 2 ) {\displaystyle \phi (P)=O(-|x|^{1/2})=O(\exp -(h_{x}(P)/2))=O(\exp -c_{4}B^{2})} となるからである( c 4 > 0 {\displaystyle c_{4}>0} もE と代数体 K およびランク r にのみ依存する計算可能な定数である。)。このことから、整数点大きさ対する上からの評価得られるこの方法は E(K) が知られているときには整数点大きさ対す計算可能な上界与えるが、前に述べたように E(K) 自体特定するアルゴリズム知られていないため、この方法は一般楕円曲線に対して理論上は必ずしも有効ではない。

※この「楕円対数」の解説は、「楕円曲線」の解説の一部です。
「楕円対数」を含む「楕円曲線」の記事については、「楕円曲線」の概要を参照ください。

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