楕円型偏微分方程式
楕円型偏微分方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 09:46 UTC 版)
「ハルナックの不等式」の記事における「楕円型偏微分方程式」の解説
楕円型偏微分方程式に対するハルナックの不等式は、ある連結開領域内の正の解の上限は、その下限とあるデータの汎函数のノルムを含む項の和にある定数を掛けたものによって上から評価される。すなわち sup u ≤ C ( inf u + | | f | | ) {\displaystyle \sup u\leq C(\inf u+||f||)} が成り立つ。この定数は方程式の楕円度(ellipticity)と連結開領域に依存する。
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楕円型偏微分方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 07:24 UTC 版)
「フレドホルムの交代定理」の記事における「楕円型偏微分方程式」の解説
フレドホルムの交代定理は、線型の楕円型偏微分方程式を解くために用いることが出来る。基本となる結果は次のものである:方程式とバナッハ空間が適切に定められるなら、次のいずれかが成り立つ。 (1) 同次方程式が非自明な解を持つ。 (2) 非同次方程式がデータの選び方に対して一意に解かれる。 この内容について以下で述べる。典型的な楕円型作用素 L の分かりやすい例として、ラプラシアンに低階の項をいくつか加えたものが考えられる。適切な境界条件が課され、適切なバナッハ空間 X(これは境界条件と解の適切性を保証する)上で表現されることで、L は X からそれ自身への非有界作用素となり、問題は次を解くこととなる: L u = f , u ∈ d o m ( L ) ⊆ X . {\displaystyle Lu=f,\qquad u\in dom(L)\subseteq X.} ここで f ∈ X はデータとして与えられるある函数で、これに対する解を得ることを考える。フレドホルムの交代定理は、楕円型方程式の理論と組み合わされることで、この方程式の解を構成することを可能にする。 具体例として、次のような楕円型境界値問題が挙げられる。 ( ∗ ) L u := − Δ u + h ( x ) u = f in Ω . {\displaystyle (*)\qquad Lu:=-\Delta u+h(x)u=f\qquad {\text{in }}\Omega .} 境界条件は次のものとする。 ( ∗ ∗ ) u = 0 on ∂ Ω . {\displaystyle (**)\qquad u=0\qquad {\text{on }}\partial \Omega .} ここで Ω ⊆ Rn は滑らかな境界を持つ有界集合で、h(x) は固定された函数(シュレディンガー作用素の場合は、ポテンシャル)である。函数 f ∈ X は、変化させることの出来るデータで、それに対して方程式の解を求めることを考える。ここで X を、Ω 上のすべての自乗可積分函数からなる空間 L2(Ω) とし、dom(L) は、ソボレフ空間 W 2,2(Ω) ∩ W01,2(Ω)(Ω 上の自乗可積分函数で、1階および2階の弱微分が存在し、それらも自乗可積分であるものからなる空間)とする。さらに ∂Ω 上ではゼロ境界条件が満たされるものとする。 X が(今回の例のように)適切に選ばれるなら、μ0 >> 0 に対して作用素 L + μ0 は正となり、楕円型評価を利用することで、L+μ0 : dom(L) → X は全単射かつその逆はコンパクトで、像が dom(L) と等しいような至る所で定義される X から X への作用素 K であることが分かる。そのような μ0 を固定する。しかしそれは道具に過ぎないので、その値は重要ではない。 このとき、前述のコンパクト作用素に対するフレドホルムの交代定理を、境界値問題 (*)-(**) の可解性に関する内容に変えることが出来る。上述のように、フレドホルムの交代定理では次のことが主張される: 各 λ ∈ R に対し、λ は K の固有値であるか、作用素 K - λ が X からそれ自身への全単射である。 境界値問題に対して、次の二つの内容を述べる。λ ≠ 0 とする。このとき次のいずれかが成り立つ: (A) λ は K の固有値 ⇔ (L + μ0) h = λ-1h のある解 h ∈ dom(L) が存在 ⇔ -μ0+λ-1 は L の固有値 (B) 作用素 K - λ : X → X は全単射 ⇔ (K - λ) (L + μ0) = Id - λ (L + μ0) : dom(L) → X は全単射 ⇔ L + μ0 - λ-1 : dom(L) → X は全単射 -μ0+λ-1 を λ で置き換え、λ = -μ0 の場合を別に扱うことで、この結果は次の楕円型境界値問題に対するフレドホルムの交代定理につながる: 各 λ ∈ R に対し、同次方程式 (L - λ) u = 0 は自明解を持つか、非同次方程式 (L - λ) u = f は与えられた各データ f ∈ X に対して一意な解 u ∈ dom(L) を持つ。 この後者の函数 u は、上述の境界値問題 (*)-(**) の解である。これは上述の (1)-(2) で主張されたような二者択一の内容である。コンパクト作用素のスペクトル理論より、可解性が失われるような λ の集合は R の離散部分集合(L の固有値)であることが分かる。このような固有値は、方程式の可解性を妨げる resonances であると考えられる。
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