楕円型正則性定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 05:07 UTC 版)
L を次数 2k の楕円型作用素で、係数が 2k 階連続的微分可能であるようなものとする。ある関数 f と適当な境界値が与えられたとき、L に対するディリクレ問題を解くことは、Lu = f を満たし適切な境界値と法線微分を持つ函数 u を見つけることである。楕円型作用素に対するその存在理論は、ガーディングの不等式とラックス=ミルグラムの補題を用いることで考えられるが、そこではソボレフ空間 Hk 内のある弱解 u の存在のみが保証される。 弱解 u は、表現 Lu が意味をなさないほど十分な微分を持たないこともあり得るので、この状況は全く不十分である。 楕円型正則性定理(elliptic regularity theorem)では、f が二乗可積分であるならば、u は実際に 2k 個の二乗可積分な弱微分を持つことが示されている。特に、f が無限階微分可能であるならば、u もそのようになる。 この性質を示す任意の微分作用素は準楕円型作用素と呼ばれる。したがって、すべての楕円型作用素は準楕円型である。この性質はまた、ある楕円型作用素のすべての基本解は、0 を含まない任意の近傍において無限階微分可能であることも意味する。 応用として、コーシー・リーマンの方程式を満たすある函数 f {\displaystyle f} を考える。コーシー・リーマンの方程式は楕円型作用素を形成するため、 f {\displaystyle f} は滑らかとなる。
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