検閲方程式
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「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の記事における「検閲方程式」の解説
『ウルトラジャンプ』2017年9月号に掲載された、維羽裕介による短編作品。 あらすじ 集英社から未知との遭遇をテーマとした短編の執筆を依頼された露伴は、宇宙人について調べるために杜王町の近くにある大学の図書館を訪れる。 露伴のファンであった館長のはからいで大学院生の近森優斗が資料探しの補助をすることになったが、集められた資料とともに机に置かれていた近森のノートに露伴は興味を持ち、その中から一部が破り取られた数式の書かれたページを発見する。 これについて露伴が近森に尋ねると近森は奇妙な反応をした後で、それが別次元に干渉するための数式の断片で、それに挑んでいた彼の恋人は解いている最中に意識不明となってしまったという。 その原因がこの数式にあると考えた近森は数式を解こうとするが数式が不完全な状態ではそれもかなわず、彼女に残された時間もわずかであることから少しでも手掛かりを得るためにこの話を短編に使ってほしいと露伴に訴える。 露伴は彼の話に好奇心を刺激され、真相を探るために近森の恋人が入院する病院へと足を運んだ。 登場人物 岸辺 露伴(きしべ ろはん) 杜王町に住む人気漫画家。未知との遭遇をテーマとした短編の資料集めのために杜王町の近くの大学図書館を訪れ、偶然から別次元に干渉できるとされる数式の存在を知る。 近森 優斗(ちかもり ゆうと) 神祇院大学の大学院生で、理学部数学科所属。夏季休暇の期間に図書館の利用案内やサービスカウンターの業務補助を行っており、図書館に露伴が訪れた際には館長の指示で彼の資料集めの手伝いをしていた。 恋人が意識不明となった事の手掛かりとみられる「別次元に干渉するための数式」の解明を行っており、彼女がもう長くない状態であることから露伴にも漫画を通しての協力を依頼する。 近森の恋人 近森の恋人。約3年前に別次元に干渉するための方程式を解いている最中に倒れ、その後も意識不明のままとなっている。 露伴がヘブンズ・ドアーで読んだ彼女の記憶によると、3年前の大学3年の時、旧図書館でこの大学に在籍していた物理学者による別次元に干渉するためのアイデアが記された手記を発見し、そのアイデアをもとに数式を組み立て、2年かけてそれを解き明かす事に成功する。 しかし、それが原因とみられる身体の異変に気付いた彼女は数式をこの世から抹消しようとし、タイムリミットとみられる数秒の間に計算に使ったノートのページを破って飲み込むことで何とか目的を果たす事に成功している。 事件後、真相を知った露伴が彼女の記憶から数式に関する部分を破り取り、それによって意識を取り戻した模様。 用語 別次元に干渉するための数式 近森の恋人が大学で発見した物理学者の手記をヒントに組み立てた方程式。もし解くことができれば別次元に干渉できるとされる。 近森の恋人の記憶によれば、解くための定数を求める演算をコンピューターにやらせようとするといつまでも終わらなかったり、解こうとすると背後から視線を感じる、数式の解説を動画として残そうとすると、動画には様々な言語で警告を発する自分の姿しか映っていなかったりするなど、数式を解く過程で不可解な現象がいくつも起きている。 それでも彼女は2年にわたる計算の末に定数と解を導き出すことに成功するが、周囲の文字や自身の思考が次々と数字に変化していく現象に見舞われ、それらの数字が一斉にカウントダウンを始めて0になったと同時に意識を失ってしまう。 彼女の記憶を読んで数式の解を知った露伴も同じ現象に遭遇したが、事前に「解を知ったら10分後に忘れる」と書き込んでいた事で難を逃れた。 露伴はこの数式にまつわる一連の出来事について、数式を解くことで得られる物理法則が現在の人間には制御できないものであるため、何者かが検閲を行っているのではないかと推測している。
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