暫定税率維持側の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 14:57 UTC 版)
「道路特定財源制度」の記事における「暫定税率維持側の主張」の解説
与党は暫定税率を廃止すると税収減により、交通設備など国民生活に不可欠な道路工事まで不可能になり、混乱が生じると批判している。 地方自治体は財源問題から、普段は意見の対立することの多い都市部と地方の自治体関係者が一致して暫定税率の維持を求めている。全国市町村長の実に99%以上が維持を求める態度を示しており、地方六団体もそろって暫定税率を維持して新規道路建設を今後とも益々促進するよう求め、昼夜なく大規模な陳情団を組織して国土交通省道路局等へ押し掛けるなど、危機感をあらわにしている。 地方では公共事業が景気動向を左右するところも多く、暫定税率の廃止により税収減とあわせて道路建設工事が減少することによる雇用の減少も、更なる地方の疲弊を促進するとの主張がなされている[誰によって?]。とくに近年[いつ?]の公共事業激減の影響を受けてきた地方の建設業界は経営体力の余剰がない状況であり、暫定税率の廃止による公共工事の急減が連鎖倒産を発生させかねないとして、強い危機感を持っているところが多い[誰によって?]。 また高速道路が未整備の県もあり、全国隅々まで高速道路等の幹線道路網をしっかりと建設し国土の均衡ある発展を目指すことこそが、格差解消につながるのだという主張がなされている[誰によって?]。とくに県庁所在地の中で唯一高速道路の通っていない鳥取県や、全通する見込みのない東九州自動車道沿線の各地域(福岡県北九州市 - 大分県 - 宮崎県 - 鹿児島県加治木町)の危機感は強く、高速道路という社会インフラがないと企業誘致や、地域医療の面で他地域に比べ大きなハンディを背負うこととなり、ますます中央との格差が拡大すると主張している。 また、現行の課税は炭素に応じた課税ではなく税制中立でもないが、ある意味化石燃料への課税行為自体は「炭素税」の課税効果と同じような役割を果たしている。税を引き下げることで需要を増やしてしまい、温暖化防止への取り組みに逆行することになるとの主張は、新古典派経済学の炭素税の経済理論に基づくものである。特定財源を一般財源化(総合財源化)した場合はCO2排出に対しては影響が無いが、廃止した場合にはCO2の排出量は増えてしまう[要出典]。 維持側の意見 地方自治体を指揮・監督する立場である総務省は、代わりの財源措置なきまま暫定税率が廃止された場合、すでに計画されている地方自治体の来年度予算が財源不足に陥り、公務員のボーナスを大幅カットしたり赤字地方債等を発行したりしないと、予算が執行停止に追い込まれかねない、と強い懸念を示している。 全国知事会等地方自治体関係団体は、毎年徴収する道路特定財源を、過去の道路建設時の借金の返済や新規道路建設用の借金の頭金として使っているので、暫定税率が廃止されると、まず頭金を捻出できないため新規道路建設用の借金ができなくなる上、過去の借金を返済することすらままならなくなる、と主張している。 宮崎県は暫定税率が廃止された場合、県と市町村の合計で財源が年間約210億円減少し、東九州自動車道の整備の見通しが全く立たなくなる、とした。 延岡市長(宮崎県)は、東九州自動車道や九州横断自動車道延岡線などのインフラ整備がなされなければ企業誘致ができない、と市内へ視察に訪れた民主党議員の「ガソリン値下げ隊」に対して主張した。また鉄道(JR日豊本線)で訪れた値下げ隊に対して「車で来れば説明不要だった」と皮肉られた。民主党代表代行の菅直人が視察へ延岡市に訪れた際には、大分市から自動車で移動したことにより、皮肉に対処している。 鹿児島県は暫定税率が廃止された場合、道路関連の予算が年間約195億円減少し、新規の道路整備(バイパス道路・道路拡幅)が全くできなくなる見通しだとした。
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