日本電信電話公社による規則と基準の制定
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「119番」の記事における「日本電信電話公社による規則と基準の制定」の解説
1952年(昭和27年)8月1日、日本電信電話公社が創設され、長年にわたって逓信省の官営ビジネスだった電報・電話サービスを、後継の電気通信省より同公社が継承した。これに伴い日本電信電話公社による119番の扱いに関する規則や基準が必要となった。まず1953年(昭和28年)に制定された公衆電気通信法 第70条、および電信電話営業規則 第296条で火災報知・応急救護に関する通話料を無料扱いとすることを定めた。 公衆電気通信法昭和28年 法律第97号(7月31日)(料金の減免)第七十条 公社は、郵政大臣の認可を受けて定める基準に従い、左の公衆電気通信役務の料金を減免することができる。 一 船舶又は航空機が重大且つ急迫の危険に陥り、又は陥るおそれがあることを通報する電報 二 船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために発信する電報 三 天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがある場合における人命財産の危険を通報する電報 四 災害に際し罹災者より発信する電報 五 警察機関に犯罪について通報する通話 六 消防機関に出火を報知し、又は人命の救護を求める通話 電信電話営業規則昭和28年 日本電信電話公社告示第150号(8月1日)(度数量の免除)第二百九十六条 左に掲げる市内通話については、度数量を支払うことを要しないものとする。 一 犯罪について通報するため、警察機関の加入電話であって、電話取扱局が指定したものに対してする通話 二 出火を報知し、又は人命の救護を求めるため、消防機関の加入電話であって、電話取扱局が指定したものに対してする通話 三 電話の障害又は交換の取扱について、電話取扱局の電話であって、その指定したものに対してする通話 ついで翌1954年(昭和29年)8月10日、日本電信電話公社は火災報知用電話の番号を119番で全国統一していくことや、設置基準を明文化した。 公社にとって金銭的な収益を生まない火災報知用電話は(消防機関からの申込みがない限り)電話局みずからが架設することはしないこと、そしてその際の承諾権は自分たちにあるとした。また火災報知用電話は消防機関から申請があれば無条件に設置されるものではなく、原則として加入数800以上の電話局区内にある消防署だけだとする条件を付けた。 『 火災報知用電話及び警察通報用電話の取扱について(指示) 』 日本電信電話公社 電営第223号(1954年8月10日)一 電話の用途1 火災報知用電話は、出火に際し、緊急に消防力の発動を必要とする場合、消防機関へ報知するために利用する趣旨で、同機関に架設する電話であること。また、本電話は、緊急に人命の救護を求める場合にも利用されるものであること。 (中略)二 電話番号 1 火災報知用電話及び警察通報用電話の電話番号については、自動式の場合は、次のとおり全国的に統一すること。但し、局内設備等の関係で次の特殊番号が附けられない場合は、当分の間その他の電話番号として差し支えないこと。(一) 火災報知用電話 特殊番号の「一一九番」 (二) 警察通報用電話 特殊番号の「一一〇番」 2 手動式の場合は、電話番号を附さず加入者台の特殊ジャックに収容すること。この場合、利用者には、火災報知用電話及び警察通報用電話へ接続を希望するときは「火事」、「救急車」又は「警察」と呼ばせること。 (中略)三 装置 1 火災報知用電話及び警察通報用電話は、着信専用の装置をすること。 2 自動式局の場合、火災報知用電話及び警察通報用電話には保留装置を設けること。 (中略)四 設置条件 1 火災報知用電話は、加入数八〇〇以上の局における消防機関に、警察通報用電話は、加入数四〇〇以上の局における警察機関に設置することとする。但し、右の基準加入数に満たない局においても、通信局長 が特にその必要を認めた場合に限り設置して差し支えないこと。 (中略)五 加入申込及びその承諾 1 火災報知用電話及び警察通報用電話は、消防機関又は警察機関からの加入申込をまつて設置すること。 2 右加入申込の承諾機関は、通信部長(又は地区電話局長若しくは中央電話局長)とすること。なお、東京、大阪において集中設置する場合は、管理局長又は通信局長が承諾機関となること。 (以下省略) 1954年夏、こうして日本電信電話公社による新しい電話サービスにおける「119番通報システム」に関する規則と基準が整えられた。 なお3桁特殊番号を「11Xのみ」地域と「10Xおよび11X」地域の二本立てとする方針を逓信省時代から継承していた日本電信電話公社だったが、フックスイッチの振動による擬似インパルスの発生は極めて少ないことが実験で明らかとなり、特殊番号を「10X、11X」で全国統一するとの方針転換が1954年12月9日になって示されている。
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