日本版NSC
別名:国家安全保障会議、ナショナルセキュリティカウンシル
日本における設置が検討されている「国家安全保障会議」(NSC)の通称。第一次安倍内閣および第二次安倍内閣において設置に向けた取り組みが推進され、2013年11月27日に参議院本会議で可決、成立した。
日本版NSCの正式名称は「国家安全保障会議」であり、略して「NSC」であるが、報道などでは通称「日本版NSC」と呼ばれている。これは米国のNSCなどが念頭に置かれた表現といえる。
NSCは、国家の安全保障を統括的に管理するための専門機関である、ということができる。国防、安全保障などについて専任スタッフが分析し、為政者に適切に助言を与えると共に、各省庁間の連携を手助けする役割などを担う。
日本の従来の機関としては、1986年に設置された「安全保障会議」が、位置づけ上NSCに近い。安全保障会議は国防に関する方針の決定や、安全保障に関する審議などを行う場として機能するが、議長や議員は非常勤となっており、緊急時に招集される審議会といった性格が強い。
日本版NSCは2006年、第一次安倍内閣において提唱され、検討が開始された。安倍晋三の首相退陣に伴い一旦は廃案となっている。2012年末に第二次安倍内閣が発足し、再度、日本版NSCの検討が開始された。2013年1月には、アルジェリアでイスラム武装勢力による人質殺害事件が発生し、日本人が複数名巻き込まれて殺害された。このとき日本が武力による邦人奪還を行うことができなかったという点も、日本版NSCの再検討の流れに拍車をかけることなったとされる。
日本版NSCの設置にかかる法案は、2013年11月半ばまでに衆議院を通過した。11月27日に開かれた参議院本会議で審議され、与党側の自民党・公明党、および野党側の民主党・日本維新の会・みんなの党などの賛成を得て、法案が成立した。投票数は231、うち賛成213、反対18であった。
ちなみに、2013年11月14日には中国で第18回となる中国共産党中央委員会が開かれたが、ここで中国共産党が「中国版NSC」を設置すると決定した、と報じられている。
日本版NSCが成立に至った第185回国会では、「特定秘密保護法案」の審議も進められている。
関連サイト:
安全保障会議 - 首相官邸 政府会議
「国家安全保障会議」について (説明資料) - 首相官邸
「4大臣会議」で意思決定=安保補佐官を常設-NSC法案 - 時事通信
国家安全保障会議 (日本)
(日本版NSC から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/06 09:03 UTC 版)
国家安全保障会議(こっかあんぜんほしょうかいぎ、英語: National Security Council[2]、略称: NSC)は、日本の行政機関のひとつ。国家安全保障会議設置法に基づき、国家安全保障に関する重要事項および重大緊急事態への対処を審議するために内閣に置かれ、主任の大臣および議長は内閣総理大臣である。
注釈
出典
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- ^ 首相官邸公式サイト 会議等一覧 > 事態対処専門委員会 事態対処専門委員会構成員
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- ^ “日本版NSC発足 4日午後に防空圏問題など議論”. 日本経済新聞. (2013年12月4日) 2013年12月24日閲覧。
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