日本学生野球協会の除名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:36 UTC 版)
大学・高校のアマチュア野球を統括する公益財団法人日本学生野球協会では、日本学生野球憲章第29条に「協会は学生野球団体、野球部、部員、指導者、審判員および学生野球団体の役員が本憲章に違反し、または前条の注意または厳重注意に従わない場合には、当該の者に対して処分をすることができる」と定めており、その最も重い処分として同30条に除名の規定がある。 除名処分を受けると、該当する個人の学生野球に関わる資格がすべて失われ、憲章15条にある「学生野球資格を持たない者との交流」からも排除される。ちなみに除名は個人のみに適用されることになっており、野球部全体あるいは傘下の大学野球連盟・都道府県高校野球連盟を除名相当にする場合は、加盟校であれば「登録抹消」、未加盟校は「登録資格喪失」とする。なお、部員または指導者個人が違反を起こした場合は野球部全体が合わせて処分を受けることがある。また、学生野球と関係のない教職員や応援団、私立校であればその設置者たる学校法人の役員が違反を犯した場合にも指導者ないしは野球部全体が処分の対象になり得るとも規定されている。 処分は高校であれば都道府県高等学校野球連盟から日本高等学校野球連盟に報告され、審議委員会で処分の方向性を決定した後、日本学生野球協会の審査室会議に上申されて最終決定が行われる。大学の場合は、所属する大学野球連盟から全日本大学野球連盟への報告を経て協会への上申となる。ただし外部者からの通報など協会に直接上申がなされることも可能であり、この場合審査室長の指示で日本高野連と全日本大学野球連盟が調査を行う。協会に直接通報された事案は、報告遅れとして処分が重くなる傾向がある。 詳細は「日本学生野球協会#審査室」および「日本高等学校野球連盟#出場停止について」を参照 「日本の高校野球#部活動としての高校野球の問題」も参照 協会は、除名によって学生野球資格を失った者であっても反省の度合いによっては復帰への道を開いており、憲章29条の6に「処分後の被処分者の情状を考慮して、処分の内容を解除変更することができる」と規定、将来的に除名が取り消される可能性もある。また、審査室が行った除名の決定に不服の場合は協会会長、または日本スポーツ仲裁機構に申し立てができるとも定めている。 1946年(昭和21年)の設立以降現在まで、協会が在学中の部員(選手)個人に対して除名処分を行った例はない。監督・責任教師など指導者に対しては複数の実例があり、最近では1997年(平成9年)に東洋大姫路の監督が常習賭博罪で逮捕された例、2002年(平成14年)に愛媛県立吉田高等学校の部長が児童ポルノ禁止法違反罪で逮捕された例 などがある。2011年(平成23年)12月には神奈川県立弥栄高等学校の野球部長を務めていた元教師が覚醒剤取締法違反で逮捕された後に除名処分を受け、また2015年(平成27年)には学校名非公表となりながらも責任教師が青少年保護育成条例違反(淫行)で逮捕され、除名となった例がある。 また野球部全体に対する登録抹消は2007年(平成19年)の専修大学北上高等学校と2011年の出雲北陵高校がそれぞれ日本高野連審議委員会から処分相当の内示を受け協会に上申された例があるが、どちらも審査室会議直前に野球部を解散したり高野連を脱退するなどし、処分は行われなかった。 詳細は「日本学生野球憲章#憲章違反事例」および「出雲北陵中学校・高等学校#不祥事を理由とする初の高野連脱退」を参照 「専修大学北上高等学校#部活動」も参照
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