日本国外の鉄道への興味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 01:07 UTC 版)
「鉄道ファン」の記事における「日本国外の鉄道への興味」の解説
日本の鉄道ファンは、その対象を日本国内の鉄道のみとしている人が多く、日本国外の鉄道を趣味の対象としている人は多くない。 その理由としては、次のようなものが挙げられる。 (一般論として)日本の鉄道が「世界の鉄道の中でもかなり先進的である」ため、日本国内で満足していることが多い 列車に乗ることを趣味としているファンにとって、鉄道趣味とは「日本独特の旅情」を楽しむ側面を併せ持っており、国外の鉄道ではこの「日本の旅情」を楽しむことができないという(日本の領土時代に日本により鉄道が建設され、発展した台湾や樺太(サハリン)では、日本のファンがこれら地域に残された日本らしさを発見するという楽しみ方をすることもある) 日本が島国であり、色々な意味で国外の鉄道に接触する機会が少なく、鉄道自体も他の国との物理的接点を持たない 太平洋戦争後(特に高度経済成長期以後)の日本の鉄道が、世界の鉄道とは違った独自の発展(例えば動力分散方式化など)を遂げたことで、技術や運営の面などで、世界の鉄道から「ガラパゴス化」している いわゆる「言語の壁」、すなわち語学力の問題。 治安や衛生状態の悪さを敬遠する、料理が口に合わないなどの理由で、外国へ行こうとは思わない(バックパッカーとは心理が異なる)。 かつては「鉄道雑誌以外に、日本国外の鉄道の情報を得る手段がないから」と言われる事も存在したというが、現在ではインターネットの発達により、以前に比べ情報量や即時性などの面で劇的に改善されている。それにより(言語の問題はあるが)、「情報の少なさ」という理由は以前に比べ緩和されていると言える。 (定量的なデータではなく、あくまで定性的なものであるが)日本の鉄道ファンが、日本国外の鉄道に興味を示さない傾向が強いのは、鉄道雑誌において「日本国外の鉄道を特集に取り上げると、売り上げが落ちる」「日本国外の記事はいつも人気がない」と言われていることからも窺い知れる。 日本の鉄道ファンが日本国外の鉄道を趣味の対象とする場合でも、その対象はヨーロッパ(特にフランスやドイツ)、あるいは日本統治の歴史があり地理的に隣接している台湾や韓国、樺太など、きわめて少数の国・地域に偏っている傾向がある。さらに、高速鉄道や観光鉄道など、日本の学生用社会科(地理など)の教科書やテレビや雑誌などでの注目・露出度が高い鉄道だけを趣味の対象としている場合も少なくない。 そのような状況の中、2000年代に入ってからは、日本の鉄道の近代化・合理化が進んだことや、ローカル線の縮小、国鉄形車両の淘汰が進んでいることなどの理由で、きわめて少数ではあるが、現在の日本の鉄道に興味を失い、新たに日本以外の鉄道に関心を抱く鉄道ファンも存在する。また、かつて日本で運用された車両が国外の鉄道事業者に譲渡されるようになったことや、格安航空会社(LCC)の増加で日本国外への旅行にハードルの高さを感じなくなったことにより、日本国外の鉄道を撮影・乗車するためのハードルは下がっている。長年鉄道ファンを続けてきたリタイア層が、金銭的な余裕も持ち合わせていることにより、日本の鉄道のみならず国外の鉄道を見聞するために旅行するといった現象も起きている。こういった層をターゲットとした旅行商品(パッケージツアー)も用意されるようになり、一般観光旅行より高額にも関わらず、多くの参加者を集めるという現象も起こるようになった。
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