日本への帰化とその問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 01:35 UTC 版)
「グリーンアノール」の記事における「日本への帰化とその問題」の解説
本種はもともと日本には生息していないが、戦後に運搬された物資に混入していたり、ペットとして飼われていたものが遺棄されたり、脱走したりした個体が沖縄島や小笠原諸島の父島、母島に帰化している。導入された個体群は、ルイジアナ州からフロリダ北部のものと考えられている。 小笠原諸島では、1960年代に父島にペットとして持ち込まれた。その後野生化し、島全域に分布を広げている。現在では、総生息数400万匹、1ヘクタールあたりの生息密度では1000匹以上と推定されている。そのため、オガサワラシジミなど固有種を多く含む昆虫類に壊滅的被害を与えており、地上性の昆虫が地域によってはほとんど姿を消すに至っている。環境省は2004年に小笠原自然再生推進検討会を発足させ、駆除事業を徐々に開始している。現在のところ、父島、母島に生息が確認され、港湾地区に捕獲装置を設置して生息拡大阻止等を実施している。東北大学の研究グループを中心とした共同研究で、小笠原に帰化した本種が、移入元(出典元によるとフロリダ)と比較して、移入後50年の間に筋肉の発生や収縮に関わる遺伝子と食物代謝に関する遺伝子の頻度に有意な変異が生じており、外部形態でも後肢が長くなる変化が起きていることが明らかにされた。ちなみに同研究では、創始個体数は14匹から最大でも50匹であるが、保有する遺伝的変異量では移入元の半分ほどであり、複数の異なる遺伝系統に由来することにより、数から想定される遺伝的変異より大きくなったとしている。 沖縄島では1989年に東風平町(現八重瀬町)で初確認され、その後那覇市で多くの個体が確認されるようになった。沖縄島での在来生物への影響は不明である。 本種によって昆虫類が激減すると、昆虫による花粉媒介にも影響を及ぼすため、農作物の減収につながるのではないかという指摘もある。反面、すでに生態系の一部に組み込まれており、徹底的に駆除されると本種を餌としているオガサワラノスリやイソヒヨドリなどに影響が出るのではないかという指摘もある。 以前はペットとして、またはトカゲ食の生物の餌用としても大量に輸入されていたが、2005年外来生物法により特定外来生物に指定されたため、2007年現在日本国内での本種の流通はない。 日本生態学会は、本種を「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定している。
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