日本の食文化と宇宙食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 03:08 UTC 版)
JAXAはホームページ上で宇宙日本食に認証された食品(2020年9月時点で24社・団体 45品目)の情報を掲載している。日清食品のチキンラーメン、日清焼そばU.F.O.、ローソンのからあげクン、ホテイフーズコーポレーションのやきとり缶詰、福井県立若狭高等学校海洋科学科の高校生が研究開発したサバ缶などが紹介されている。 日本の食品は特別食・一般食として、多数が宇宙で食されている。例としてはたこ焼きや赤飯、みそ汁などが挙げられる。変わったものとして、STS-65ミッション時に向井千秋が公募して持ち込んだ、菜の花のピリ辛あえなどがある。 前述のとおり、特別食の場合は一般食と比較して多少緩い制限で持ち込みが許可されるが、食品の性質によっては却下される場合もある。毛利衛は納豆を機内に持ち込めるかアメリカ航空宇宙局に承認を求めたが、臭いの点では合格だったものの、糸を引く点が減点材料となり認められなかったという。 せんべいなどは粉が飛び散ってしまいそうだが、実際に若田光一が特別食として持ち込み、スペースシャトル内で食べている。 宇宙食に不適な食品の代表格としてラーメンがあったが、これも日清食品中央研究所が「スペース・ラム」という名称で実際に開発したインスタントラーメンを野口聡一が持ち込んでいる。この「宇宙ラーメン」とも呼ばれるスペース・ラムはカップヌードルをベースとしているが、一般に食べられているカップ麺とは少々異なり、袋の中に摂氏約70度と低温の湯で柔らかくなる円筒状にまとめられた麺3塊が入っており、これに湯を注入、所定時間置いてから袋を破って円筒状になった麺をフォークや箸で食べる。 スープは飛び散らないように粘度が高く、少量で麺にまぶす程度しかないが、満足感を増すために、やや香辛料を効かせた味となっているという。なお、しょうゆ・みそ・カレー・とんこつと4種類の味が用意されている。 また、かけそば(どん兵衛)や焼き鳥も土井隆雄が持ち込んだ。そばもスペース・ラムと同様に低温のお湯で戻すことが出来、麺は3個の塊になっている。これらの食品の開発も日清食品が担当した。 なお、前述のとおり、宇宙航空研究開発機構が食品会社と共同で認証審査および選定を行った宇宙日本食は、ISSの一般食に採用されており、2008年からは通常メニューとして宇宙日本食を食べることが可能になった。主なメニューとしては前述のスペース・ラムをはじめ、おかゆや日本式のカレー、サンマの蒲焼や緑茶などがある。この宇宙日本食は他国の飛行士にも人気があり、野口の食料としてISSに持ち込まれた宇宙日本食を、他国クルーが前任日本人クルーの若田光一の置きみやげと勘違いして、一部を喜んで食べてしまう珍事も起こっている。ただし宇宙食はもともと多めにあり、輸送も頻繁なためミッションに影響はなかった。
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