日本におけるヨーデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 19:14 UTC 版)
日本において「ヨーデル」を一般に紹介したのは、1933年(昭和8年)の中野忠晴による「山の人気者」のリフレイン部におけるものが最初とされ、これはカントリー・ヨーデルである。アメリカのサロニー作曲・本牧次郎作詞(訳詩)のこの曲は愛唱され、ウイリー沖山も自身のレパートリーに含めている。 戦後の日本において「ヨーデル」という概念が一般に広まったのは、1951年(昭和26年)発売の灰田勝彦による「アルプスの牧場」の間奏部によるところが大きい。灰田のファルセットによるヨーデルは「アルプスの牧場」ヒットの要因となり、「ヨーデル」という言葉もこの時広く知られることとなった。 やはりカントリー・ヨーデルの歌手であるが、日本では「キング・オブ・ヨーデル」の異名を持つ、ウイリー沖山が有名である。中でも「山の人気者」は沖山のファルセットと低音の繰りかえしや、最後の徐々に超高音になって行く辺りは、本場のヨーデル歌手に匹敵するとの評価もある。 1964年に樺山武弘編『ヨーデル入門』という本が朋文堂から出版され、一章を割いて「実技講座」が掲載されている。しかし、この本はすでに絶版であり入手が困難な状況である。 日本でよく知られているヨーデルを含む楽曲としては、1974年放送開始のアニメ『アルプスの少女ハイジ』のオープニングテーマ「おしえて」(作詞:岸田衿子、作曲:渡辺岳夫、編曲:松山祐士、歌:伊集加代子&ネリー・シュワルツ)がある。また、エンディングテーマの「まっててごらん」にもヨーデルが使われている。 北川桜はヨーデルの女性歌手としては、このジャンルで知名度の高い方である。ウイリー沖山の直弟子の八月真澄(はづきますみ)は、ヨーデル普及のための活動を行っている。 また、ドイツバイエルン地方では石井健雄が知られており、石井はドイツで有名な日本人として、各種メディアで紹介されている。そんな中たけしとさんまの番組に出演したがドイツで結構な人気歌手であった石井の歌唱中に調子に乗っていた無知な二人がオチャラケて石井のパフォーマンスを邪魔したが歳上の石井は一瞬?の表情を表したものの大人の対応を通した。 そのほか日本でプロとして活躍しているアルペン・ヨーデル歌手に、『NHK名曲アルバム』で「ヨハン大公のヨーデル」を歌った川上博道(アルペン・ブラスカペレ)や、北川桜(エーデルワイス・ムジカンテン)がいる。アルペン系ヨーデルのCDとしては、伊藤啓子の『こころのヨーデル』、北川桜の『Es Fascht fur mis Harz』が、それぞれ2009年に発売されている。 また、佐藤憲男がヨーデルを担当するヨーデル・チロリアンというグループもプロ活動を行っている。佐藤は2006年からNHK文化センターで、北川は2007年からNHK学園で、そののち都内各地でヨーデルの講座を開設している。 プロ以外としては、伊藤啓子(エンツィアン)がスイス・ヨーデルを中心とした演奏活動を行っており、2005年のスイス連邦ヨーデルフェストにも日本人としては異例の出場をして最高クラスを受賞している。2008年6月にルツェルンで行われた大会では、2回目の出場の伊藤啓子、初出場の北川桜がともに最高クラスを受賞した。外国人の参加は認められない大会であり、日本組以外ではスイス出身の外国グループの参加が9グループあったが、そのうち最高クラス受賞は日本組とカナダのグループのみであった。 2000年にはニッポン放送のラジオ番組で桂雀三郎withまんぷくブラザース が歌った「ヨーデル食べ放題」(作詞・作曲:リピート山中)がオンエアされた。ヨーデル特有の裏声を使って焼肉店の風景を歌った、いわゆるコミックソングである。シンガー・ソングライターのリピート山中がカントリー・ヨーデルの典型的なヨーデルフレーズをモチーフにコミックソングに仕上げた。長渕剛も一時期ヨーデルに凝り、アルバム収録の自作曲「ヨーデルの子守唄」で披露している。
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