日本とフランスのオリンピック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 18:12 UTC 版)
「水井康雄」の記事における「日本とフランスのオリンピック」の解説
水井は、1964年東京オリンピックと1968年フランスのグルノーブルオリンピックに石の彫刻大作を制作している。日本における《余韻の化石》Les murs des fossilesと、フランスにおける《マクロコズムとミクロコズム》Macrocosme et Microcosmeである。 《余韻の化石》Les murs des fossiles(花崗岩/2mx 93x 0.3/国立代々木競技場/丹下健三依頼)。) 国立代々木競技場は、丹下建三の設計で1961年から1964年にかけて東京の代々木公園にたてられたスポーツ施設である。その回廊を飾る巨大なアブストラクトの壁面レリーフは、全長93mという巨大なものであり、35cm -1m82cm x 60cm x 30cmの408個の御影石のブロックから構成されている。この御影石は、岡山県の「石の島」と呼ばれる北木島のもので、総重量は160トンにも達する。水井は1963年(昭和38年)10月に丹下から依頼を受け1964年(昭和39年)2月から構想に入り、4月から7月まで北木島で10人の助手とともに粗彫りをしそれを東京に運び、8月末に完成させた。9月には外国のプレスに紹介された。 「化石の余韻」は、水井の原風景であり、人生経験や自然との深い関わりの中で生きる心象のレリーフである。石のなかから掘りだした- 旅 -炎 - 重さ - 香り- 執念 - 水 - 智慧 - 音 - 時 - 光 -の10のイメージである。この作品も作者の常の仕事にあるよう全行程において手作業を貫き、機械を全く使わず、全部が鑿/トンガリノミ、クシノミ、大小のハンマーで作られた巨大レリーフ作品であった。 《マクロコズムとミクロコズム》Macrocosme et Microcosme(石/13mx 81x 0.4/グルノーブルオリンピック選手村)。 グルノーブルの冬季オリンピックの選手村の教会にいたる参道のためのレリーフ壁。最大と最小の世界を表現した。最大は太陽、森、山、川など個を超えた発想、最小は人間の内面の葛藤という個からの発想であり、<自然と人間>の世界を表現している。当時シャルル・ド・ゴール政権のもと、芸術への造詣が深いアンドレ・マルロー文化相の訪問を受けている。 アンドレ・マルローの『反回想録』(新潮社、1977)の翻訳者、竹本忠雄からマルローの事を聴いていたが、僥倖にもグルノーブルの彫刻壁の訪問を受けた。
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