新工場での検査方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 02:08 UTC 版)
「馬込車両検修場」の記事における「新工場での検査方式」の解説
旧馬込車両工場では8両編成を4両ずつに分割して入場させ、天井クレーンを使用して車体と台車を分離する。車体は台座に仮置きして整備、各機器や台車はそれぞれの検査職場へと運び、分解・整備して、また元の車体に取り付ける整備方法であった。 新しい車両工場では、浅草線と大江戸線という規格の異なる車両を、同一の工場ラインで効率的に検査が実施できるように整備されている。 入場した車両は4両ずつに分割され、入出場線と検査線に4両編成のまま入場し、それぞれの検査線において、5段階のスポットに分け、往路と復路で別々な検査を行うことができる。片方の4両検査終了後は、車両の入れ換えを行い、もう片方の車両側にも同様の検査を行う(片方:入出場線で検査→検査線で検査・もう片方:検査線で検査→入出場線で検査)。 それぞれの検査ライン上では、流れ作業によって台車や空調装置などの機器をリンク品(整備済みの機器)を用いて、検査対象の機器を交換していく作業が主体となる。取り外された機器は3階の整備職場や外注作業職場へ運ばれ、点検整備の上、次回入場車両に使用される。 この「ライン検査方式」は東日本旅客鉄道(JR東日本)の東京総合車両センター西棟(JR東日本209系以降の新系列車両に特化した専用検査棟)を参考にしたものであり、この方式の採用により工場ライン上での車両滞留時間を大きく減少させた。最終的に組み立て完了後は、総合検査を実施し、検査は終了する。検査日数は、重要部検査・全般検査とも浅草線車両で10日間、大江戸線車両で12日間である。 新工場で検査を行う車両浅草線5300形車両 浅草線5500形車両 大江戸線12-000形車両 E5000形電気機関車 本工場で行う検査は重要部検査・全般検査・臨時検査の3種類である。ただし、2006年(平成18年)に引退した5200形車両は新工場での検査は考慮されていなかった。 入出場線(L1線) プールピット構造を採用し、入出場時の各種検査および調整、編成の分割または連結と総合検査を行うラインである。車両入場時には連結器や空気圧縮機の交換、機器の個別検査・交換、電気部品の気吹清掃等を行う。 工場検査線(L2線) プールピットと平床構造を持ち、屋根上機器や台車、空気ブレーキ等の車両部品の交換、輪重測定作業を行うラインである。台車は在姿状態で車体を支持し、1両分の台車を昇降機2台を用いて抜き取り、台車通行線へ転送、そして整備済みの台車へと交換される。外された台車はトラックで搬出され、外部で検査が実施される。検査の完了した台車はトラックで搬入後、立体式の格納庫へ格納されて次回の入場車両に使用される。 臨検線(L3線) 車両故障等における臨時検査や臨時修繕を行うラインである。 安全面では車両移動時において、入出場線に車両移動確認装置、検査線には車両移動禁止装置を設置し、ライン上の検査機器の作業を制限している。また、本工場内の検査設備機器のほとんどは日本車輌製造が担当している。また、工場内での車両入れ換え用にトモエ電機工業(現・新トモエ電機工業)製の25tバッテリー式けん引車両を2台配置する。
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