新工法の検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:09 UTC 版)
難工事の対策として様々な工法が検討された。「水抜き坑」は多用されたうえ湧水対策として有効だったため、以後「丹那方式」と呼ばれて各地のトンネル工事で採用された。軟弱地盤や湧水帯を掘削する際に使用される「セメント注入法」と、高圧空気で湧水を押さえる「圧搾空気掘削工法」が、日本では丹那トンネルの工事で初めて実用化された。圧搾空気掘削工法は、水頭の低い湧水箇所、つまり河底トンネルなどに利用されるべきであるが、トンネルに用いられた。まず坑内に空気閘を作り、0.35 - 2.5 kgf/cm²の圧力の空気を坑奥の掘削面に送り、湧水を抑圧して掘進させた。地質不良で土圧の大きいときは支保工代用としてシールドを使用し、これが掘進にしたがって鉄製セグメントで畳築しながら進行した。この圧搾空気掘削工法に従事する者はすべて厳しい身体検査ののち入坑させ、彼らの空気病の治療のため坑門付近に治療用空気閘を用意し、医員が配置された。羽越本線折渡トンネル(現在の下り線トンネル)に続き日本で2例目の「シールド工法」も試みられたが地盤がこの工法に適しておらず成功しなかった。地質を調べたり湧水を抜くためにトンネル先端で行う「水平ボーリング」も日本で初めてと推測される。
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