料理の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 23:24 UTC 版)
ワイルは、20世紀初頭のフランス料理界を席巻していた、オーギュスト・エスコフィエの料理に傾倒していたといわれる。エスコフィエは近代フランス料理の完成者と評される存在であり、コース料理の基本を定め、それ以降のフランス料理の格式を確固たるものとさせた。ワイルはエスコフィエの提唱したフランス料理をベースに、子羊のクリーム煮(スイス料理)、パスタやピカタ(イタリア料理)、ウィーン・シュニッツェル(オーストリア料理)、ハンガリアン・グーラッシュ(ハンガリー料理)、スカッチ・ハギス(スコットランド料理)、ハンブルク風ステーキ(ドイツ料理)、ビーフ・ストロガノフ(ロシア料理)、ローストビーフ(イギリス料理)といった料理を出していたという記録や証言もあり、十代から二十代の修業時代をヨーロッパを転々として技術を培った経験からヨーロッパ各国の郷土料理に長じていたといわれる。 日本では、秋山徳蔵など、単身渡仏してエスコフィエから料理を直接学ぶ者はいたものの、秋山は帰国後に皇室の料理番となったため一般にその技術は伝播しておらず、町場のレストランではエビフライ、メンチカツ、ビーフステーキ、ポークカツレツといった、所謂洋食とされる料理がコースで提供されるばかりで本場ヨーロッパの料理が市井で提供される時代ではなかった。一方、日本のホテルの最高峰である帝国ホテルでも、本場フランスの技術が導入されるのは、1928年に石渡文治郎が渡仏してエスコフィエに師事し、帰国して第八代総料理長となる1929年以降なので、いかにワイルが当時の日本の料理界において先進的な存在であったかがわかる。
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