接続反対した自治体とその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 01:08 UTC 版)
「住民基本台帳ネットワークシステム」の記事における「接続反対した自治体とその後」の解説
神奈川県横浜市は、将来は段階的に住基ネットに参加することを前提にする市民選択制度をとっていた。しかし、2006年(平成18年)5月10日、住基ネットの総合的な安全性が確認できたとして、2006年(平成18年)7月から全ての住民の本人確認情報を住基ネットに送信する全面参加に移行することを発表した。 兵庫県宝塚市は、2006年(平成18年)4月の市長選で「住基ネット凍結」を主張していた元衆議院議員の阪上善秀が当選したことから、同市が住基ネットを切断するのではないかと言う見方があったが、結局、市長当選後も離脱しなかった。 長野県は、当時の知事であった田中康夫が費用対効果や安全性に対して疑問を主張し接続していなかった。その後、知事が村井仁に交替し、2008年(平成20年)1月7日、市町村からの要望などを踏まえ、32の法律に係わる事務処理のうち、5つの法律に係わるものから利用を開始。最終的に利用状況を見ながら事務の利用の拡大を計り、導入された。 2010年(平成22年)1月、愛知県名古屋市の河村たかし市長(当時)が「住基ネットの安全性に対する懸念を理由に、名古屋市を離脱させる意向である」との主張が報じられ、1月19日に原口一博総務大臣(当時)に対し、ネット切断を含めた対応を検討中であることを伝えたが、同年2月2日には1年間かけて安全性などを検証・議論し、離脱はしない方針を表明した。 裁判までは起こさなかったが、プライバシー侵害について、神奈川県藤沢市と東京都目黒区の個人情報保護審査会では選択制の導入などを求める答申程度が出された。ただ答申だけで、その後に住基ネットは導入された。 東京都杉並区 は、山田宏区長(当時)が個人情報保護法 成立後に横浜方式の市民選択制度を求めていたが実現しなかったため、法の下の平等に反するなどとし、2004年 (平成16年)8月24日 に国および東京都に対して訴えを起こした。2008年(平成20年)7月8日、区が国に求めていた「区民選択方式」の上告が最高裁判所 で却下され、区の全面敗訴が確定した。これを受けて、杉並区は住基ネットへの全面参加を明らかにし、2009年(平成21年)1月5日から業務を開始した。これにより、東京都国立市と福島県東白川郡矢祭町の2自治体のみが不参加となった。 東京都国立市が接続していないことに起因する市の経費支出について、国立市民が市長に対する住民訴訟を起こしており、2011年(平成23年)2月4日、東京地裁は、住基ネットからの離脱は違法と指摘した上で、一部経費の支出差し止めと支出の一部を市に返還することを市長に命じた。2012年(平成24年)2月、国立市が約9年間ぶりに再接続した。これにより、不参加の自治体は矢祭町のみとなった。 2015年(平成27年)3月30日、住基ネットに13年間で唯一未接続だった矢祭町は「セキュリティに関する不安が完全に払拭されたわけではないが、住基ネットにまつわるセキュリティ事故はほとんど起きていない。住基ネットは、マイナンバー制度施行後に町が行う法定受託事務の前提になる。接続しないという選択肢はなかった」と住基ネットへ接続。これをもって全ての自治体が住基ネットワークに接続することになった。
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