抗マラリア剤
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ナビゲーションに移動 検索に移動抗マラリア薬
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キニーネ自身の水溶性は低いため、塩酸キニーネや硫酸キニーネといった塩の形で投与される。 キニーネはマラリア原虫に特異的に毒性を示す。マラリア原虫は赤血球中でヘモグロビンを取り込み栄養源として利用している。しかしヘモグロビンの代謝の際に原虫にとって有毒なヘムが生成する。原虫はこのヘムをヘムポリメラーゼによって重合させて無毒化している。キニーネはこのヘムポリメラーゼを阻害することによって原虫に対して毒性を発揮するという説が有力である。 キニーネはほぼ唯一のマラリアの特効薬として第二次世界大戦頃までは極めて重要な位置づけにあった。ヨーロッパの各国は熱帯地方の植民地を経営する上でキニーネを必要とした。イギリスはインドとスリランカに、オランダはインドネシアにキナのプランテーションを作ることに成功し、これらがキニーネの重要な供給源となった。 日本(台湾などを含む)の場合、キニーネ製造量が国内需要を満たしたのは大正時代に入ってからのことである。大正末期には外国へ輸出するようになり、日本のキニーネ生産高は世界第2位となった。 米国ではキニーネの値段が1880年には1オンス4.5ドルであったのが、1913年には25セントと安くなった。そしてキニーネが一般庶民に急速に普及し、米国におけるマラリア減少の一因となった。もっとも、1912年~1915年の時点では南部諸州の平均マラリア罹患率はおよそ4%で、ミシシッピ・デルタには40.9%の原虫保有率を示す地域さえあった。 第二次世界大戦前後に、キニーネの構造を元にクロロキンやメフロキンなどのキノリン環を持つ抗マラリア薬が合成された。キニーネは胃腸障害や視神経障害、血液障害、腎障害、心毒性といった副作用が存在するため代替され、あまり用いられなくなった。しかし、熱帯熱マラリアにクロロキンやメフロキンに対して耐性を持つものが多くみられるようになったことから、ドキシサイクリンやクリンダマイシンとの併用で利用される場合がある。また、熱帯熱マラリアの重症例に対しては経口投与ではなく静脈注射で利用される。
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