投入兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 19:31 UTC 版)
トマホーク巡航ミサイル、劣化ウラン弾、F-117ステルス攻撃機、パトリオットミサイル、バンカーバスター地中貫通爆弾、全地球測位システム (GPS)、F-15E戦闘爆撃機など、特にアメリカは数々の新兵器を投入した。 中にはA-10攻撃機の様に、冷戦終結により一度は存在価値(欧州配備)を失ったものの、湾岸戦争での活躍により再評価された物も存在する。 アメリカ空軍のAGM-130誘導ミサイルといった誘導爆弾は、他の無誘導爆弾に比べ、実戦経験は少なかったにもかかわらず、過去の戦争と比べ軍事攻撃における市民への被害を最小限にできると評価された。ジャーナリストたちが、巡航ミサイルが飛び交うのをホテルから眺める中、バグダッド中心部の特定の建造物への爆撃は行われた。 多国籍軍が投下した爆弾のうち、7.4%は精密誘導によるものであった。クラスター爆弾を含む複数の子弾を四散させる爆弾及び15,000ポンド爆弾デイジーカッターは、数百ヤードにわたる範囲内の建造物を破壊可能である。 全地球測位システムは、砂漠全域における円滑な部隊運用を可能にした。 早期警戒管制機 (AWACS)及び衛星通信システムもまた重要な役割を果たした。アメリカ海軍E-2ホークアイ及びアメリカ空軍E-3セントリーがその一例である。これらの航空機は作戦範囲における司令及び管制に使われた。これらのシステムは、陸軍、空軍、そして海軍間の必要不可欠な通信リンクを提供した。そして、これは多国籍軍が空戦において圧倒的優位に立った多くの理由の内の一つである。 対して、イラク軍は地上戦力では9K52やT-72といったソ連製兵器や中国製59式、69式戦車などを投入した。ところが、中にはモンキーモデルと呼ばれる性能を輸出向けにダウングレードさせた仕様も存在したため、これらは多国籍軍の戦車に相次いで撃破された。他にも、対地攻撃用にスカッドミサイルやカチューシャといった装備も投入しており、これらの存在に多国籍軍は苦戦することになった。 航空戦力には、装備していたソ連製・フランス製・中国製戦闘機や爆撃機を投入。中にはMiG-25のように撃破ないし撃墜に至らせた機体もあった。しかし、全天候能力を持たない機体も多く大部分は撃墜されているか隣国のイランに退避する事態を迎えた。現在でも、イラン空軍には当時イラクから逃げてきた飛行機が何機か配備されているが、これはイランも革命後にアメリカから支援を断たれたためやむを得ず使用しているためである。 イラク海軍はフリゲートやコルベット、ミサイル艇といった小型の艦艇で構成された艦隊が配備されていた。海上戦力において重大な脅威とみなされたのは(クウェート海軍から鹵獲された物を含む)ミサイル艇のみであったが、これらは多国籍軍の航空戦力によって一方的に殲滅されている。なお、イラン・イラク戦争後、イラク海軍はイタリアにミサイルフリゲートや補給艦を発注して海上戦力の充実を狙っていたが、フリゲートはキャンセルされている。また、補給艦はイラクへの回航中に湾岸戦争勃発により引き渡しが禁止され、エジプトのアレクサンドリア港に留め置かれた。
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