成立をめぐる議論とは? わかりやすく解説

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成立をめぐる議論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 05:12 UTC 版)

古詩十九首」の記事における「成立をめぐる議論」の解説

十九首成立年代については後漢後期とする説が有力視されているが、詳しく分かっていない。古い俗説では、『玉台新詠』などの注に依って前漢枚乗李陵蘇武らの作としているが、これらはほぼ認められていない。しかし、唐の李善文選注』も指摘するように、一部の詩にある洛陽後漢の都)の描写から後漢の人の作が含まれることは、多くの人が認めるところである。清の饒学斌『月午古詩十九首詳解』では、後漢末党錮の禁によって辺北へ逃げた人の作ではないか推測しているが、十九首全て個人の作品見なすにも無理がある。 一部の詩は既存楽府字句そのまま換骨奪胎し作られており、言葉選びからして知識人作為思わせるのである類似する楽府は既に漢代存在したことから、古詩十九首民間歌謡起源をもつことはほぼ確実であると考えられてきた(具体的には、第十五首「生年不満百」が『宋書』中の「西門行」古詞に対応するなど)。これらは特定の時期にある個人によって作られたというよりは、かなり長い時代わたって歌い伝えられたものが蓄積して整理されたものと考えられる近代になって徐中舒・鈴木虎雄梁啓超らが後漢中後期成立とする説を唱え、これが概ね定着して今日至っているが、21世紀に入ってから、従来成立年代民間起源論挑戦する異説唱えられている。柳川順子は、古詩中でも陸機擬作残している数首の作品群を古層に位置づけ、これらを前漢末期後宮娯楽的空間の中で生まれてきたものとする。また木斎は後漢末曹植による創作とする説を提示し中国国内文学研究大きな波紋呼んだ。 なお、同時代の鍾嶸による五言詩評論書詩品』を見る限り、『文選』が編まれ6世紀初頭には、少なくとも60首にのぼる作者未詳の「古詩」が伝わっていたようである。『玉台新詠』には、十九首重複するもののほかに5首の古詩採録している。南朝宋劉鑠には、古詩30余首の擬作作って世の評判になったとの逸話残っており、これらもまた『文選』『玉台新詠』にその一部を見る。このほか、『文選』の基本テクストである李善注の中に引かれ断片的に残っているものなどもある。 『文選』の編者である昭明太子がその中から代表的な19首を採録したのか、すでにまとまった作品群として19首があったものを掲載したのかは定かでない。ただ、晋の陸機漢代の「古詩」の中から14首の擬作残したことが『詩品』に記されており、その中で現存する12首のうち11首までが古詩十九首のものを踏まえている。このことから、『文選』に選ばれ作品群にも既に何らかの来歴があったのではないか推測できる

※この「成立をめぐる議論」の解説は、「古詩十九首」の解説の一部です。
「成立をめぐる議論」を含む「古詩十九首」の記事については、「古詩十九首」の概要を参照ください。

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