成立・作者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 06:25 UTC 版)
『平治物語』については、成立・作者に関しては、確かな資料は多くない。ただし、成立に関していえば、第1類本である学習院大学図書館蔵本が源頼朝の死(正治元年・1199)に関する記事を含んでいるので、これ以降であることは確実。この頼朝の死を含まない本文もあるが、永積安明の説によって、第1類本がもっとも古態本文であることがほぼ承認されている。また、石井行雄によって『春華秋月抄草』(宗性作)の寛元4年(1246年)の執筆箇所に、物語古態本の断片が存在することが確認されており、少なくともこの年以前には成立していたと目される。これは絵巻である『平治物語絵詞』の書風を、藤原教家の晩年、建長年間(1249-1255)のものであると認定した松原茂の説とも合致しており、以上の説によれば13世紀半ばには成立していたという点は動かないと思われる。そして『普通唱導集』(永仁5年・1297)には保元・平家と並んで琵琶法師の語りが広まっていたことが記されており、13世紀後半には物語は広く浸透してものと判断される。 作者については、近世までは『保元物語』と同一とみる理解が通説であったが、近年は別人であると考えるのが一般的である。誰であるかは不明。 なお、成立・作者に関しては『保元物語』の成立・作者と重なる点が多いので、そちらも参照されたい。
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