起源論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:38 UTC 版)
〈国家〉とよびうるプリミティブな形態は、村落社会の〈共同幻想〉がどんな意味でも、血縁的な共同性(家族あるいは親族体系)から独立にあらわれたものをさしている。同母の〈兄弟〉と〈姉妹〉のあいだの婚姻が、最初に禁制になった村落社会では〈国家〉は存在する可能性をもった(対幻想と共同幻想が自覚的に分離している)。魏志の邪馬台的な〈国家〉は起源的な〈家族〉および〈国家〉の本質からつぎのような段階をへて転化したと想定できる。 〈家族〉(戸)における〈兄弟〉⇔〈姉妹〉婚の禁制。〈父母〉⇔〈息娘〉婚の罪制。 漁撈権と農耕権の占有と土地の私有の発生。 村落における血縁共同性の崩壊。〈戸〉の成立。〈奴婢〉層と〈大人(首長)〉層の成立。 部族的な共同体の成立。いいかえれば〈クニ〉の成立。 また、吉本は、初期天皇群につけられた〈ヒコ〉、〈ミミ〉、〈タマ〉、〈ワケ〉などの和称が、『魏志倭人伝』にある諸国家の大官の呼称と同じであることを指摘して、『古事記』の編者たちは、初期天皇の国家段階を、たかだか邪馬台的な段階の支配王権の規模しか想定できなかった。それは、初期天皇の勢力が邪馬台的な段階の国家の規模しか占めていなかったのを暗示している、と述べている。
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