起炎菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 15:52 UTC 版)
細菌性髄膜炎は年齢や全身状態によって起炎菌が異なることで有名である。 年齢起炎菌3か月まで B群溶連菌、大腸菌、リステリア菌、ブドウ球菌、緑膿菌(グラム陰性桿菌が多い) 3か月以上6歳未満 インフルエンザ桿菌(Hibが多い)、肺炎球菌 6歳以上から成人 肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ桿菌 65歳以上 肺炎球菌、髄膜炎菌、リステリア菌 全身状態不良、免疫抑制 黄色ブドウ球菌、グラム陰性菌、リステリア菌 3ヶ月まで この時期に認められる細菌性髄膜炎は出生時の垂直性感染やそれを遠因とするものが多い。具体的にはGBSや大腸菌である。 6歳まで 免疫学的に未熟な時期と考えられる。細菌性髄膜炎発生率が最も高い年齢層である。この時期は肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(特にHib)が多い。乳児と小児全体で原因菌として最も多いのがb型インフルエンザ菌(Hib)、髄膜炎菌、肺炎球菌である。日本では相対的に欧米よりも髄膜炎菌による髄膜炎は少ない傾向がある。 成人 6歳を過ぎると免疫学的に成人と同様に近くなる。この時期は細菌性髄膜炎は稀である。起炎菌の80%は肺炎球菌である。インフルエンザ桿菌は激減し、髄膜炎菌や連鎖球菌が散見される。発症例の半数は慢性疾患を有している。ペニシリン耐性肺炎球菌の一部は第三世代セファロスポリンにも耐性を示すためバンコマイシンを併用する。またセファロスポリンはリステリア菌に無効であり、リステリア菌を考慮する場合はアンピシリンを追加する。 65歳以上 感染防御が再び低下する。大腸菌、クレブシエラ菌などの腸内細菌によるものなどもみとめられる。高齢者では慢性副鼻腔炎や中耳炎、慢性の肺疾患や心疾患、慢性尿路感染や慢性消耗性状態(アルコール依存症、糖尿病、血液疾患、悪性腫瘍など)のような促進因子が50%で存在する。死亡率も若年成人よりも高い。60歳以上の肺炎球菌の患者の死亡率は30〜40%である。
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