情報公開から犯人逮捕まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:09 UTC 版)
「甲府信金OL誘拐殺人事件」の記事における「情報公開から犯人逮捕まで」の解説
遺体発見後の同日18時41分に山梨県警とマスメディアは報道協定を解除し、公開捜査に踏み切る。同時に遺体を発見した静岡県警と共に合同捜査本部を設置した。当初、「犯人は男3人組」「共犯者に女性がいる」などの説があり、犯人像を絞り込めなかった。また報道協定を解除したことで山梨県警に1日700件の情報が寄せられたが、いずれも有力な情報に繋がらなかった。 そこで逆探知装置に残っていた声をもとに音声・音響分野の研究を行っている鈴木松美に声紋鑑定を依頼、鈴木の声紋鑑定により以下のことが割り出された。これらは実際に逮捕されたMとほぼ一致しており、鈴木の声紋鑑定が正確であったことが伺える。 特徴鈴木による鑑定実際の犯人M身長音の高さは身長が高くなるほど低くなる傾向がある。逆探知装置に残された音の高さから身長170cm前後である。 Mの身長は172cmであり、ほぼ一致している。 年齢年を取るごとに声帯の筋肉が劣ることから、おおよその年齢がわかる。逆探知装置に残された音をもとに年齢は40歳から55歳の間である。 Mは事件当時38歳であり、鈴木の判断より年齢が若いが、大幅に間違ってはいない。 在住地約束を「やぐぞぐ」と濁音の訛りで言ったり、「そうですか」を「ほうすっか」と言うなど、甲州弁(国中弁)を多用していることから甲府盆地に在住している。 Mは甲府盆地出身・在住であり、鈴木の鑑定が一致したことになる。 職業身代金要求時に「無地の帯封」を求めている。これは現金で大金を扱っている者にしかわからない特徴であり、高額なものを取り扱う営業職ではないか。 大型トラック等の自動車販売会社に勤めるセールスマンであり、封帯が必要な数百万単位の高額なものを取り扱っている。よって鈴木の鑑定が一致したことになる。 さらに鈴木は、当時NTT電話網の甲府MA・0552局内では有接点のクロスバ交換機が使われていたことから、電話を切った直後、交換機が接点を開放する際に発生するパルスノイズのパターンが経由する交換機間の距離とその台数で異なることに着目し、甲府信金の当該支店の加入電話と同じ市内局の回線を準備した上で、甲府MA管内の公衆電話を総当りで、録音された脅迫電話の切断時と同じパルスノイズを割り出そうとした。その結果中央自動車道の境川パーキングエリア (PA) の公衆電話からかけたことがわかり、そこは犯人が身代金を投下するよう指示した104キロポストの至近であった。 鈴木による鑑定の内容が連日報道され、また鈴木自身も作業場を公開したりテレビ出演する等協力の姿勢を見せた中、犯人の男M(当時38歳)の知人である建設会社社長が鈴木による鑑定内容と音声を報道で聞いて間違いないと判断し、Mを呼び出し自首するよう説得する。Mは当初否認していたが説得に折れ、8月24日の早朝、建設会社社長に連れられて山梨県警所轄の警察署に出頭し、逮捕された。
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