応用と考慮すべき点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 06:18 UTC 版)
画質が向上するにつれ、他のデジタル写真の利点もあいまって、プロの報道写真家はデジタルカメラを使用する割合が大きくなってきている。特に報道では現像が不要、配送(送信)が早いというスピーディさも重要視されている。 デジタル写真は多くの素人スナップショット撮影者にも受け入れられてきている。電子メールで画像を送る際やWorld Wide Webでの便利さが理由の1つである。デジタルカメラは携帯電話にも組み込まれている場合があるが、一般に専用機より画質は落ちる場合が多い(「画質」と「画素」は異なる要素である)。 商業写真家や芸術的写真を趣味とする撮影者の中にはデジタルカメラよりもフィルム式を好む者もいる。彼らはデジタル写真の画質はフィルム写真の画質に及ばないと考えている。実際、フィルム写真の分解能はデジタル写真を上回っている。技術の進歩によって現在のデジタル写真が将来使えなくなる可能性を危惧する向きもある。編集が容易であることから、法廷でのデジタル写真の証拠能力が問題視されることもある。 大多数の写真家や素人はデジタル写真の柔軟性と低コストが欠点に勝ると考えている。デジタル写真のコストのほとんどはカメラやパソコンなどの機器をそろえる初期投資であり、ランニングコストはほとんどかからない。フィルム式写真ではランニングコストがかかるものの、機器が陳腐化する速度は遅く、長期にわたって使えるという利点がある。商業写真家の中にはデジタル写真のコンピュータによる編集の容易性から移行を決断する者もいる。暗室では不可能だったカラーバランスの調整などの画像編集が容易となっている。 デジタルカメラの欠点としてバッテリーの交換または充電が比較的頻繁に必要になるという点があげられる。従って写真家などは常に電源の確保に気を配らなければならない。結露や気温が低いとバッテリの能力が低下して駆動時間が大幅に減ってしまうため寒さにも注意が必要である。野外で活動することの多い写真家は、圧倒的にフィルム式の一眼レフカメラを好む。写真中心の雑誌などでは高分解能が求められるため、大きなフィルムを使ったカメラが好まれる。 天文学では、一般よりも早くからデジタル写真が使われ、1980年代初めにはフィルム写真はほとんど使われなくなった。撮像素子の感度の良さだけでなく、特性が一定である点、コンピュータに取り込んでの解析しやすさが理由である。天文学で使われる撮像素子は一般に使われているものと似ているが、白黒が普通であり、液体窒素で冷却して熱によるノイズを低減させている。天文機器では多数の撮像素子を並べて場合によっては億単位以上の画素数を実現している。天体観測を趣味とする人々もデジタルカメラを使うのが一般化しており、Webカメラを利用したいわゆる「ビデオ天文学; video astronomy」もある。
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