応用の実例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 03:05 UTC 版)
極めて一般に、一変数の場合と同様、多重積分を使って与えられた集合上の函数の「平均」を求めることができる。n-次元空間内の部分集合 D ⊆ Rn と D 上の可積分函数 f が与えられれば、その領域 D 上の f の値の平均値は f ¯ = 1 vol ( D ) ∫ D f ( x ) d x {\displaystyle {\bar {f}}={\frac {1}{{\text{vol}}(D)}}\int _{D}f(x)\,dx} で与えられる。ここに、vol(D) は D の容積である。 加えて、多重積分は物理学において多くの用例がある。以下、いくつかの例とその種々の記法について記す。 力学において慣性モーメントは距離の自乗を重みとする密度の体積分(三重積分) I z = ∭ V ρ r 2 d V {\displaystyle I_{z}=\iiint _{V}\rho r^{2}\,dV} で与えられる。質量分布に付随する重力ポテンシャルは三次元ユークリッド空間 R3 上の質量測度 dm によって V ( x ) = − ∫ R 3 G | x − y | d m ( y ) {\displaystyle V(\mathbf {x} )=-\int _{\mathbf {R} ^{3}}{\frac {G}{|\mathbf {x} -\mathbf {y} |}}\,dm(\mathbf {y} )} と与えられる。この分布の密度を表す連続函数 ρ(x) が存在するならば、つまり d3x を三次元ユークリッド空間の体積要素として dm(x) = ρ(x)d 3x と書けるならば、重力ポテンシャルは V ( x ) = − ∫ R 3 G | x − y | ρ ( y ) d 3 y {\displaystyle V(\mathbf {x} )=-\int _{\mathbf {R} ^{3}}{\frac {G}{|\mathbf {x} -\mathbf {y} |}}\,\rho (\mathbf {y} )\,d^{3}\mathbf {y} } の形になる。電磁気学では、マクスウェルの方程式に重積分を用いて電場や磁場の総体を計算することができる。例えば、空間電荷密度 ρ(r) の電荷分布から作られる電場は、三重積分 E = 1 4 π ϵ 0 ∭ r − r ′ ‖ r − r ′ ‖ 3 ρ ( r ′ ) d 3 r ′ {\displaystyle \mathbf {E} ={\frac {1}{4\pi \epsilon _{0}}}\iiint {\frac {\mathbf {r} -\mathbf {r} '}{\left\|\mathbf {r} -\mathbf {r} '\right\|^{3}}}\rho (\mathbf {r} ')\,d^{3}\mathbf {r} '} で得られる。これは電荷分布を表す符号付測度に関する積分としても書くことができる。
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