引退相撲での断髪式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 04:30 UTC 版)
詳細は「引退相撲」を参照 通常、引退に際し年寄名跡を襲名した力士の場合、引退相撲(「○○(力士名)引退 ○○(年寄名)襲名披露大相撲」と銘打たれて開催されることが通例)において、引退した力士の家族、後援者、恩人、友人らが次々と土俵に上がって、紋付羽織袴姿で座っている引退力士の髷に少しずつ鋏を入れ、最後に引退時の師匠に当たる親方が髷を切り落として終了となる。師匠が最後に切り落とす行為を止め鋏(とめばさみ)という。現在では引退力士は椅子の上に座るが、昭和20年代中頃までは土俵の上に正座していた。また土俵の上はロールシートがT字型もしくは十字型に敷かれるが、2000年代以降はレッドカーペットをイメージした赤いシートが使われることが多い。 力士によっては300人以上が鋏を入れることもあるが、2003年5月場所後に引退相撲を行った貴乃花の場合は、本人の希望もあって、相撲協会関係者、息子の花田優一、実兄で横綱だった花田勝ら親戚、同期生である魁皇ら50人に留まった。 土俵上は女人禁制ゆえに、男性のみが鋏を入れる為に土俵に上がることができる。しかし2010年9月場所後に引退相撲及び断髪式を行った千代大海が自身の希望に基づき実母に鋏を入れて貰うべく断髪式の途中で土俵を降り、土俵下で鋏を入れて貰う演出がなされて以降、同様に断髪式の途中で土俵を降りたり、土俵の隣に設けたステージに移動したりして、女性に鋏を入れて貰う演出が多く見られるようになった。 断髪式は引退力士にとって、長年頭の上にあった髷がなくなるため、「本当に大相撲から引退してしまうのだな」という気持ちや、今迄の相撲人生において沢山の想い出が甦るという理由からか、引退時記者会見ではさっぱりとした表情で話をしていた力士であっても、ほとんどの場合感極まって目から大粒の涙を流してしまう場合が多い。 整髪及び着替え後は、一種の「お約束」として身内の女性(夫人、母親、娘など)にネクタイを整えて貰うパフォーマンスを求められることが多い。断髪式時点で独身だった玉乃島は同部屋同期生の玉飛鳥が、稀勢の里は現役時代から仲のよかった元幕内・北太樹(年寄・小野川)が夫人役を買って出て笑いを取っていた。 引退相撲は原則として毎年1・5・9月の本場所終了後の1週間後の土日に両国国技館で開催される。また横綱・大関など人気力士の断髪式、披露パーティーの模様ともなれば、当日にテレビ中継されることもある。 双葉山の断髪式。鋏を入れる羽黒山(1946年11月19日)。 羽黒山の断髪式。鋏を入れる時津風(双葉山)(1954年1月30日)。
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