寺泊航路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 19:06 UTC 版)
2018年まで、寺泊港(長岡市寺泊地域)と赤泊港(佐渡市赤泊地区)を結ぶ寺泊航路(両泊航路とも呼ばれた)があり、2005年6月までは小型カーフェリー、それ以後は高速船「あいびす」により運航されていた。 自動車を利用する場合は関東地方から最も近く、利便性が高い航路ではあるものの、両港とも港湾施設の規模が小さく、両津航路・小木航路で就航しているものよりも小型のフェリーが就航していた。しかしこのフェリーの車両航送可能台数は39台(乗用車のみ)と少なく、更には島外からの観光利用が本土間の航路・航空路4路線のうち、僅か1割弱と伸び悩んでいたことから、2005年(平成17年)6月から高速船「あいびす」による高速船航路に転換された。 しかし、例年にない寒波が襲った同年12月の運航率は約10%と、1ヶ月の大半で運航できないという最悪の事態に陥った。これは、導入した船が小型で軽量であるにもかかわらず、スタビライザーなど横揺れを防止する装置が設けられていないため、少々の高波でも激しく横揺れを起こして乗り心地が著しく低下するという問題があったことによる。このため佐渡汽船では、2006年1月18日から1ヶ月掛けて実施した「あいびす」の定期検査の際に横揺れ防止システム「ARG」を船内に8台追加設置し、2月15日から運航を再開した。その後ARGの設置効果を反映した上で運航体制を再構築したものの、冬場など悪天候時の欠航率は改善できず、2008年1月期の1便当たりの平均乗客数も1人にとどまるなど収支が悪化し、航路単体で年間約2億円の赤字を計上していた。こうした背景から佐渡汽船は2009年1月から、寺泊航路を冬季間(12月から2月)全面運休することになった。これにより5000万円の赤字額を削減できる見通しとされた。 また、長岡市と佐渡市の観光関係者らでつくる「長岡佐渡広域観光協議会」は2009年5月28日にジェットフォイルをチャーターし、同会のメンバーと国、県などの観光・交通政策の担当者ら約50人を乗せ、寺泊港沖と赤泊港沖を経由して新潟 - 小木間で試験運航を実施した。これは航路の活性化に加え、「あいびす」の欠航率の高さの問題などからジェットフォイルによる航路への転換や、新潟・直江津両航路との連携などを長期的に検討するため実施したもので、寺泊と赤泊は港の水深や設備の関係でジェットフォイルが接岸できないため、沖から港内を視察した。 2017年7月13日に船員の確保及び経営状況の厳しさから、両泊航路撤退を軸とした協議を申し入れる旨の発表があった。翌2018年は便数を半減しての運行となった。 2018年10月31日、北陸信越運輸局へ両泊航路の一般旅客定期航路事業の廃止届を提出。2019年1月1日~4月30日は全便運休、5月1日廃止。2018年10月2日より同航路は運休期間に入っており、事実上この航路の歴史に幕が下りている。 なお、2018年夏季には、新潟県と長岡市の要請・支援を受けて、寺泊港と小木港との間で各月1回1往復の試験運航も行われていた。
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