女性の褌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 06:17 UTC 版)
女性と褌は縁がないと勘違いされることが未だにあるが、決してそうではない。古くは『日本書紀』にも女性が褌を着用した記述を確認することができ、一部では腰巻も含めた下穿きの総称として「褌」という言葉が使われていた。女性用の褌は前垂れの有無に特徴がある。世界的に前垂れがある褌が男性用であり、前垂れがない畚褌などが女性用として性差を示す形が前垂れの有無であると言われている。歌舞伎役者の女形が畚褌を着用しているのもこの理由によるものとされる。 タンポンやナプキンなどの生理用品が普及する以前は、越中褌やもっこ褌が「お馬」と呼ばれ生理帯のひとつとして長い間使用されてきたという歴史もあるが、当時は生理中の女性を穢れたものとして忌み嫌う風習があったことから、おおっぴらに語られることが少なかった。 また江戸時代から戦後にかけては見世物としての女相撲興行が盛んに行われており、大衆演劇の世界では男装した女役者が着物をはしょり、内股に白粉を塗ってふんどしを見せながら剣戟を演じて客の喝采を浴びたという。サイジのように一部の海女が身につける褌も存在する。 1980年代後半、当時の人気アイドルであった武田久美子や宮沢りえがグラビアや写真集でふんどしを締め、臀部を露出した姿を披露したことが話題となった。ハイレグ水着やTバックが一般にも浸透しグラビアでも多く見かけるようになっていたが、当時はまだ男性のものという認識が強かったため、女性が硬派な印象のふんどしを締めこんだ姿を公にしたことは衝撃的であった。近年では益戸育江がTV取材に対して『手製のふんどしを愛用している』と発言し、木口亜矢、壇蜜、西明日香らが日本ふんどし協会から「ベストフンドシスト」を受賞している。 近年では女性を対象にした越中褌やもっこ褌が市場において一定の売り上げを保っている。ショーツとは異なりゴムでそけい部のリンパ節を圧迫することがなく、通気性が良く蒸れないため美容や健康に留意する女性に好評である。メーカー側も肌触りの良い素材や色合い、可愛らしい模様などをプリントした商品開発に余念がない。また、「ふんどし」という呼び方に抵抗を感じる女性に配慮して「パンドルショーツ」「ななふん」といった名称で呼ばれている。「パンドル」とはフランス語で、「垂れる」と言う意味。 団鬼六の作品等に代表されるようにSMにおける羞恥プレイで女性に褌を締める行為は古くから行われている。中でも六尺褌はきつく締め上げることで圧迫による性的快感があり、男装した時のような倒錯したエロティシズムを醸し出す。この羞恥心と快感が女性のナルシシズムと陶酔感に結びつき、マゾヒズムを刺激するという。 『くノ一忍法帖 影ノ月』、『真田くノ一忍法伝 かすみ』といった時代劇Vシネマでも女優が着物の下にふんどしを締めているのが確認できる。
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