大学・大学院教育において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 06:31 UTC 版)
「IMRAD」の記事における「大学・大学院教育において」の解説
英語圏の大学・大学院では、リサーチデザインや、アカデミックスキル、アカデミックライティングに関する系統立った講義や、手厚いサポート(ライティングセンター等)がなされているとよく言われる。一例としては、インペリアル・カレッジ・ロンドンのヒラリー・グラスマン-ディール氏の講義ノートが参考になるであろう。 最近では、日本の大学や大学院でも、アカデミック・ライティングに関連した講座が確認されている。シラバスを検索する限り、アカデミックスキルに関する講義は、専ら大学院、研究者レベルで行われており、上記の講義同様、論文の内容それ自身の紹介や、IMRADへの分解に加え、 具体的な論文のI, M, R, Dにはどういうことが記載れているのか それぞれのパート (IMRD) をどういうふうに組み合わせて全体の結論に説得力をもたせているのか それぞれのパートの記述で良いところ(悪いところ) などを指摘しているものと思われる。一例として、筑波大学の 秋山英三准教授の講義スライドを紹介する(経済系)。秋山英三准教授の講義スライドでは、過去の修士論文をIMRADに分解したうえで、過去の学説の対立点を背景にて指摘し、別の視座から対立点に有益な見方を与える方向で議論を収束させている点などの良い点を指摘して、修士論文の書き方あるいは論文の書き方(読み方)について言及している。金沢大学では、特定の科目としてではないが、外部の英文校閲業者の専門家に講演を依頼し論文の書き方に関する情報提供をしている。また、帝京大学の井上和夫教授のホームページはIMRADに関する記述が充実しており、特に、卒研生が実際に論文を書いていく状況などを公開しているところが特筆すべき点である。 最近では、学部教育においても、IMRADについて講義を行う学校もある。例えば東京大学では、高田康成教授、トム・ガリー准教授らのワーキンググループを中心としたALESSプログラムが行われている。このプログラムでは、学部1年の学生に簡単な自由研究をさせてみて、その結果を論文にまとめさせている。京都大学では、小山田耕二 教授(可視化技術、シミュレーションの専門家)を中心としたワーキンググループにて、京都大学全学共通教育国際学生シンポジウム(共通の教養科目)を実施している。これに関連した学部生向けの教育において、IMRADについても教えている。講義の対象者(受講生)は、学部初年級で、本記事の想定している読者と同レベルを想定した講義である。前記シンポジウムの関連講義が、ビデオやスライドとして公開されている。本シンポジウムに関しては、関連書籍として以下の小山田が公開されている。講義内容としては、 科学的方法に関する一般知識の教育 IMRADに関する一般的な説明 アカデミック英語の講義 であり、実習としては いくつかの模範的な論文(英語)の構成分析(ムーブ分析) 仮説検証のフレームワーク(飲料の売り上げと、季節の関係を、回帰分析で分析する等) 査読の体験 などをおこなっていことが動画等から判る。 さらには、大学ではなく、高等学校でも、一部のスーパーサイエンスハイスクールでは、IMRAD形式に基づいた作文、論文発表の指導がなされている。 卒業論文・修士論文レベルでは、最近では、いくつか大学・研究科では、卒業論文のスタイルマニュアルや統一規定を刊行し、卒業論文、修士論文等の作成手法のある程度の部分を、明示知として開示している。一例として、立命館大学経営学研究科のスタイルマニュアルを示す。 大学院入試問題でも、現実の論文に対して、背景や考察などを要約させる出題がなされることがある(例えば総合研究大学院大学の入試問題等)。
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