地球システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 00:24 UTC 版)
複数の物質圏に分化した地球は(「人間圏」を除き)相互作用を及ぼしながら安定しており、これを取り扱う学問を「地球システム学」と言う。地球のシステムを動かす動力源は、地球内部の熱エネルギー(惑星形成時の重力エネルギーと放射性元素の崩壊による原子力エネルギー)と太陽から注ぐ光エネルギーである。これに、地球の自転や公転、および周辺の天体からも影響を受ける。 地球の内部熱は外核の対流を起こし、ダイナモ運動から磁場が生じる。これは地表を突きぬけ宇宙空間に広がり、太陽風を防ぐ。このため地球大気は水素など軽い元素が宇宙空間に逃れることを防いでいる。一方でこの熱はマントル対流を起こし、これが地殻のプレート運動や造山活動につながり海と陸を形成している。この陸では雨に溶け込んだ二酸化炭素と珪素酸化物と結びつき、炭酸塩となって流れ込んだ海底に沈殿して石灰岩となる。これはプレート運動で移動し、一部はマントル内に回収されてゆき、火山活動でふたたび地上に供給されるという炭素循環システムを司る。この炭酸循環はある程度の広さを持った陸地、すなわち大陸が必要になる。 光エネルギーが直接及ぼす影響には、地表のさまざまな気候や気象現象や、生態系の基礎になる光合成生物の生育に関わる点が挙げられる。地球に降り注ぐ太陽放射のうち反射される割合(アルベド)は31%になり、吸収される69%のうち大気が20%、地表が49%の割合となる。地表の熱は赤外線放射や水の潜熱や顕熱の形で大気に渡るが、一方の大気や雲も赤外線で地表を暖める。このような熱交換が地表で行われる一方、ほとんどの比率が大気から、一部は雲・地表から赤外線放射によって熱は宇宙に逃れ、全体として熱収支はバランスする。 この太陽光は緯度によって異なり、また地軸の傾きから季節でも変化する。これに地球の自転効果(コリオリの力)も影響し、偏西風や貿易風などの大気循環や海洋循環を起こす。
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