気候科学との関わり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 19:38 UTC 版)
現在、大気と海洋の循環だけでなく、大気、海洋、陸上植生との間の二酸化炭素などの化学物質の循環も取り入れて気候を解析したり予測したりする数値モデルは、「地球システムモデル」と呼ばれている。地球システムモデルはエルニーニョなど現在起こっている気候変動の原因解明だけでなく、地球温暖化などの人間が地球に及ぼす気候への影響の将来予測にも欠かせないものになっている。 気候の将来予測に欠かせなくなった気候モデル、地球システムモデルは、これまでの歴史的な気候データに対しても大きな変革をもたらそうとしている。過去数十年間の既存地点の観測値から、その期間の気象要素の全球格子点での気象データを、数学的な手法(データ同化手法: Data Assimilation)を用いて物理学的に合理的に推測することが行われている。これはいってみれば過去の気候の数値的な再現であり「気候再解析(Climate reanalysis)」と呼ばれている。気候再解析はこれまで観測値がなかった地域や上空を含めて、全球の格子点上の気象データを時間的・空間的にシームレスに推測する。こうやって算出した再解析値を用いれば、過去の気象や気候のイベントを詳しく分析することが可能になる。気候再解析は新たな気候学研究を支えるようになってきている。 なお、この気候シミュレーションには膨大な計算量が必要となる。このためのスーパーコンピュータは、かつて日米の貿易摩擦を引き起こした。
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