四冠王へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 17:26 UTC 版)
1986~87年度、谷川より少し遅れて台頭してきた「55年組」の一人である高橋道雄とのタイトル戦が3つ続いた。 1986年度、第12期棋王戦(谷川1-3高橋)は、高橋が先手の2局は相矢倉、谷川が先手の2局は角換わり腰掛銀となり、相手の得意戦法を2度ずつ受けて立つ戦いとなった。結果は、角換わりで1敗した谷川が棋王を失冠し、無冠となった。 しかし、翌1987年度に、第28期王位戦(谷川4-1高橋)で高橋から奪取した。なお、この王位戦七番勝負と並行して、両者は十段戦リーグでも2度対戦しており、結果は1勝1敗であった。さらに、第13期棋王戦(谷川3-(持1)-2高橋)においては、前年に奪われた棋王位を奪還した。これで、自身初の二冠(王位・棋王)となり、2度目の最優秀棋士賞受賞した。 1988年度、第46期名人戦(谷川4-2中原)は「中原名人への挑戦」となった。3勝1敗で中原を追い詰めた後の第5局で、中原の悠然とした態度に威圧され2勝目を返されるが、第6局で勝ち名人に復位、初めて三冠(名人・王位・棋王)となった。しかし、同年度の第29期王位戦(谷川3-4森)で‘終盤の魔術師’こと森雞二に敗れ、第14期棋王戦(谷川2-3南)では「55年組」の一人で‘地蔵流’こと南芳一に敗れて、名人のみの一冠に後退した。 1989年度、第47期名人戦(谷川4-0米長)で名人位を防衛し、さらに第30期王位戦(谷川4-1森雞二)で森から王位を奪還して二冠(名人・王位)に復帰した。 1990年度、第48期名人戦(谷川2-4中原)で再び中原誠に名人位を奪われたものの、第38期王座戦(谷川3-1中原)で中原誠から王座を奪取し、すぐに二冠(王位・王座)に復帰した。その間、第31期王位戦(谷川4-3佐藤康)ではタイトル戦初登場の五段・佐藤康光にフルセットに持ち込まれたが、辛くも防衛に成功した。 同年度、第3期竜王戦(谷川4-1羽生)で、羽生善治と初めてタイトル戦の舞台で戦い、羽生から竜王を奪取。自身2度目の三冠(竜王・王位・王座)となり、3度目の最優秀棋士賞を受賞した。しかしながら、この竜王戦の第4局、入玉模様ではない203手の名局で、羽生から1勝を返されたことについて、「4-0か4-1かというのは(その後のことを考えれば)大きかったかもしれない」と述べている。 そして、四冠王となる年である1991年度を迎える。 第32期王位戦(谷川4-2中田宏樹)では、三冠のうちの一冠を防衛。 第39期王座戦(谷川2-3福崎)での相手は、かつて谷川に「感覚を破壊された」とまで言わせた穴熊の名手・福崎文吾であった。最初の2局で福崎の穴熊戦法の前に屈したのが大きく、王座を失冠した(二冠に後退)。最終局は千日手指し直しとなったが、その終盤、喉が渇いて苦しそうにしている福崎に、谷川は自分の茶を差し出した。福崎はそれを飲み干した後、自らを勝ちに導く妙手を発見した。 しかし、第4期竜王戦(谷川4-(持1)-2森下)で、矢倉の「森下システム」で知られる森下卓の挑戦を退けて、防衛に成功する。第1局は角換わりの出だしからの持将棋であった。 次に、第59期(1991年度後期)棋聖戦(谷川3-0南)で南芳一を破り、初めて棋聖位に就く。さらには、第41期王将戦(谷川4-1南)でも南を破り、初めての王将位を獲得する(1992年2月28日)。 これで、全7タイトルを各1回以上獲得したことになり、また、大山康晴、中原誠、米長邦雄に次いで史上4人目の四冠王(竜王・棋聖・王位・王将)となり、4度目の最優秀棋士賞受賞した。 四冠達成までの過密スケジュール 1991年11月22日 ○ 棋聖戦・挑戦者決定戦(阿部) = 棋聖挑戦権獲得 11月26日-27日 ● 竜王戦第4局(森下) 11月30日 ○ 天王戦・決勝(村山) = 優勝 12月1日 ○ 棋王戦・敗者復活戦1回戦(加藤(一)) 12月4日-5日 ○ 竜王戦第5局(森下) 12月7日 ○ 王将リーグ6回戦(中原) 12月10日 ○ 棋聖戦第1局(南) 12月12日 ○ 棋王戦・敗者復活戦2回戦(塚田(泰)) 12月13日 ○ 王将リーグ7回戦(屋敷) = 4勝2敗で4人が並ぶ 12月17日-18日 ○ 竜王戦第6局(森下) 12月20日 ● A級順位戦(高橋) 12月24日 ○ 棋聖戦第2局(南) 12月26日-27日 ○ 竜王戦第7局(森下) = 竜王防衛 12月29日 ○ 王将リーグ・プレーオフ1回戦(米長) 12月31日 ○ 王将リーグ・プレーオフ2回戦(中原) = 王将挑戦権獲得 1992年 1月7日 ○ 棋王戦・敗者復活戦3回戦(高橋) 1月10日 ○ 棋聖戦第3局(南) = 棋聖奪取 1月14日 ○ A級順位戦(石田) 1月16日-17日 ● 王将戦第1局(南) 1月23日 ● 棋王戦・敗者復活戦決勝(南) 1月27日-28日 ○ 王将戦第2局(南) 2月3日 ● 全日プロ・準々決勝(中田(宏)) 2月5日-6日 ○ 王将戦第3局(南) 2月12日 ● A級順位戦(南) 2月17日-18日 ○ 王将戦第4局(南) 2月27日-28日 ○ 王将戦第5局(南) = 王将奪取、四冠達成 (3月2日 ● A級順位戦(大山)) ※タイトル戦の各局の前日には、対局場検分と前夜祭のスケジュールもある。※テレビ棋戦(NHK杯戦、早指し選手権)の対局日は不明。
※この「四冠王へ」の解説は、「谷川浩司」の解説の一部です。
「四冠王へ」を含む「谷川浩司」の記事については、「谷川浩司」の概要を参照ください。
- 四冠王へのページへのリンク