商品化とその後の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:49 UTC 版)
「リチウムイオン二次電池」の記事における「商品化とその後の動向」の解説
1991年、ソニー・エナジー・テックは世界で初めてリチウムイオン電池を商品化した。次いで1993年にエイ・ティーバッテリー(旭化成工業と東芝との合弁会社)により商品化され、1994年に三洋電機により黒鉛炭素質を負極材料とするリチウムイオン電池が商品化された。 1997年、Akshaya Padhiとジョン・グッドイナフらはオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極材料として提案した。コバルト酸リチウムと比較して安全で長寿命という特徴がある。2009年、ソニーはリン酸鉄リチウムイオン電池を商品化した。現在では各社から販売されている。 1999年、ソニー・エナジー・テックと松下電池工業は電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池を商品化した。電解質が液体から準固体のポリマーに変更できたことで薄型化・軽量化が可能になり、さらに、外力や短絡、過充電などに対する耐性も向上した。外装も、従来の鉄やアルミニウムの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムなど簡易なもので済むようになった。主にモバイル電子機器用として2000年代に急速に普及し、現在ではスマートフォンや携帯電話に使われる電池はほぼすべてリチウムイオンポリマー電池である。2010年代にはウェアラブル機器やドローンなどの新興産業にも利用が広がっている。 2008年、東芝は負極にチタン酸リチウム (Li4Ti5O12) を用いるリチウムイオン電池を商品化した。炭素材料と比較して、安全、長寿命、急速充電、低温動作といった特徴があるが、黒鉛よりも電位が約1.5V高いため単セルの電圧が低くなることやエネルギー密度がやや低いといった側面がある。現在は、自動車用(搭載例:スズキ・ワゴンR)、産業用、電力貯蔵用など幅広い分野で利用されている。 リチウムイオン電池は自動車用としても普及が進んでおり、2009年頃から本格的にハイブリッドカーに利用され始めた。以降続々と採用車が増え、ホンダ・フィットハイブリッドやトヨタ・プリウスなどの人気車種にも採用されるようになった。自動車用リチウムイオン電池は、自動車メーカーと電池メーカーの合弁会社(プライムアースEVエナジー、オートモーティブエナジーサプライ、リチウムエナジージャパン、ブルーエナジー)の他、パナソニックや東芝などの電機メーカー、日立ビークルエナジーなどが供給している。またトヨタ、日産、ホンダなど自動車メーカーでも研究開発が進んでおり、開発段階ではあるが電解質に固体材料を使う全固体リチウムイオン電池が次世代二次電池として注目されている。ハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴い自動車用リチウムイオン電池の市場規模は2015年現在も拡大傾向にある。 リチウムイオン電池はかつては日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。三洋電機、三洋GSソフトエナジー、ソニー、パナソニック エナジー社、日立マクセル、NECトーキンなどが主なメーカーとして知られている。一方、韓国(サムスンSDI、LG化学)、中国 (BYD、CATL)、台湾などで生産量が増えてきている。
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