名称と文化的意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:51 UTC 版)
「シリウス(おおいぬ座)の方言」も参照 バイエル符号における名称はα Canis Majoris、略称はα CMa。シリウスは、ギリシャ語で「焼き焦がすもの」「光り輝くもの」を意味する「セイリオス(Σείριος, Seirios)」に由来するが、ギリシャ語自体が、古代以前に他の場所から伝来した可能性がある。古代エジプトの神オシリスとの関連も示唆されている。シリウスの名称は紀元前7世紀頃の詩人ヘーシオドスの仕事と日にて初めて記録されている。2016年、国際天文学連合(IAU)は、恒星の固有名に関するワーキンググループ(Working Group on Star Names, WGSN)を組織した。2016年6月30日にワーキンググループは、Sirius をおおいぬ座α星Aの固有名として公式に承認した。 和名は大星(おおぼし)や青星(あおぼし)、英語では別名Dog Star、中国語では天狼(星) (Tiānláng (xīng)) と呼ばれる。中国では古くから「侵掠」「貪残」を司る不吉な星とされる。 シリウスには、知られているだけで50以上の名称がある。ジェフリー・チョーサーのエッセイ、A Treatise on the Astrolabe(英語版)に、シリウスは猟犬の頭とされ、Alhadorと記載されている。この名前は西欧のアストロラーベによく使用されている。サンスクリット語では、Mrgavyadha(鹿の狩人)、またはLubdhaka(狩人)と呼ばれた。Mrgavyadhaは、ルドラあるいはシヴァを表しているとしている。マラヤーラム語では、Makarajyotiと呼ばれた。 ゾロアスター教のティシュトリヤは、シリウスを神格化した星と慈雨の神。古代イランにおいては、シリウスが夜明け前に見える頃が、雨季の始まりであったことから、ティシュトリヤを、雨の神としても崇めるようになった。 明るい恒星は、太平洋の多くの島や環礁間を移動する古代ポリネシア人にとってはとても重要な存在だった。古代ポリネシア人は地平線の近くにある、高度が低い恒星を、目的地への航路を決めるコンパス代わりにしていた。また、そのような恒星は目印としても役立たれた。シリウスの場合、赤緯は約-17度であり、これはフィジーの緯度とほぼ同じである。したがって、シリウスは毎晩、島の上を通過していく。シリウスは「大きな鳥」を意味するManuと呼ばれる星座の体を構成している。ちなみに、プロキオンは北側の翼端、カノープスは南側の翼端を成しており、ポリネシアの夜空を2つの半球に分けている。古代ギリシアで朝空のシリウスが夏の到来を示すように、ニュージーランドの先住民族マオリはシリウスを「冬」を意味する Takuruaと呼んで冬の到来を告げる恒星とした。ハワイでは、シリウスは「天国の女王」、Ka'uluaとされ、冬至の日に祝いの対象とされた。他のポリネシア人の間でも、シリウスはいくつかの名称で呼ばれてきた。マルキーズ諸島ではTau-ua、ニュージーランドではRehua、タヒチ島ではTa'urua-fau-papa、あるいはTa'urua-e-hiti-i-te-tara-te-feiaiと呼ばれた。ハワイでは、シリウスには多数の呼び方があり、Aa、Hoku-kauopae、Kau-ano-meha(Kaulanomehaとも)、Hiki-kaueliaまたはHiki-kauilia、Hiki-kau-lono-meha、Kaulua(Kaulua-ihai-mohaiとも)、Hiki-kauelia、Hoku-hoo-kele-waa、Kaulua-lenaなどがある。ソシエテ諸島では、Taurua-fau-papa、Taurua-nui-te-amo-aha、Taurua-e-hiti-i-tara-te-feiaiと呼ばれていた。シリウスの名称として、他にもPalolo-mua(フツナ島)、Mere(マンガイア島)、Apura(マニヒキ島)、Taku-ua(マルギース諸島)、Tokiva(プカプカ島)がある。トゥアモトゥ諸島でも、シリウスに複数の名称があり、Takurua-te-upuupu、Te Kaha、Te Upuupu、Taranga、Vero-ma-torutoruがある。 オーストラリアビクトリア州北西部に居住している先住民族ボロン族はシリウスをWarepilと呼んだ。
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