名称と性格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 09:10 UTC 版)
ハモン(またはハンモン)の意味は不明で、19世紀にエルネスト・ルナンが現在の テュルスとアッコの間にあるハモン(Ḥammon)の遺跡(現在のUmm al-‘Awamid )を発掘しエール・ハモン(El-Hammon)に捧げられた二つのフェニキア語碑文を発見した。エールは通常クロノスにあたると考えられており、 Ba‘al Hammon はクロノスに相当するものとされていたことから、エールとバアル・ハモンは同じものであるとされた。またしばしたヘブライ語/フェニキア語の ḥammānは、'火鉢'を意味するとの説が唱えられ、”火鉢の主(Baal)”という文脈から、彼は太陽の神格を持つものとされた イガエル・ヤディン は彼を月の神と考え、エドワード・リピンスキー(英語版)は ダゴン神であると考えた。 フランク・ムーア・クロスは Khamōnとの関連を論じ、ウガリット語と アッカド語のアマノス山(シリアとキリキアを分ける山脈)の名称との関連性を論じた。KhamōnをHaman山の一つとして、エール神のウガリット表記に由来すると論じた。バアル・ハモンに与えられた古代の月の神である"二本角の主"という名は 前2112年頃支配していたウル・ナンム朝時代の北シリアで崇拝されていた。これは聖書にある、カナンの征服の約束が与えられる前のアブラハムと彼の祖先達がシリアに滞在していた頃、ヘブライ族の祖先によって崇拝されていた。クロノスやサトゥルーヌスへのバアル・ハモンの関連づけは古代メソポタミアの史料には無く、古代バビロニアの史料は、明確にバアル・ハモンをエール神の息子としている。このエールは、"天空の主" と称された古代シュメールのニップール市の主神であったエンリル神と同じ神格を持っていた。彼の二人の息子がシン(またはナンナ・スエン)という月の神、及びアスタルト(または“雲の乗り手”バアル)として知られていた。月の神の娘は金星の神イシュタルで、ウガリットやカナン文字の古代史料では、バアル・アスタルト(Baal Ishkur)の妻となった。
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