名称と学名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 01:05 UTC 版)
英名の "rhubarb"(ルバーブ)は野菜として栽培される種だけではなくダイオウ属の総称としても用いられる。特に食用種を指して "garden rhubarb"(ガーデン・ルバーブ)、"pie plant"(パイ・プラント)と呼ぶ。 食用栽培種としてのルバーブの歴史は18世紀頃に英国で始まった。遺伝的な起源は明らかになっていないが、交雑によって得られたと信じられている。原種の1つと考えられるR. rhaponticum L. はダイオウ属として唯一のヨーロッパ固有種であり、17世紀から栽培が始められた。シベリアもしくはモンゴル原産の R. rhabarbarum L. はその後に西欧へ導入されたと考えられる。他の原種候補には中国原産の R. palmatum などが挙げられる。 食用種の学名について統一された見解はない。1988年にデール・マーシャルが編纂したダイオウ属に関する文献目録では、食用ルバーブは一般に R. rhaponticum L. とみなされているが別種であり、正しくは R. rhabarbarum L. だとされた。同様の見解を取っている Flora of North America(英語版) によれば、北米ではこの誤用が浸透していると見られる。同文献によれば、R. rhabarbarum は 2n = 44 の4倍体、R. rhaponticum は 2n = 22 の2倍体であるが、過去には学名の誤用に基づいて異なる報告がなされたことがある。その他に食用種 (garden rhubarb) の学名として R. rhabarbarum を採用している例にはITIS 、Encyclopedia of Life、『園芸植物大事典』(小学館、1989年) などがある。 日本で刊行されてきた園芸事典の多くは食用種の学名を R. rhaponticum としてきた。例としては『原色日本薬用植物図鑑』(保育社、1964年)、『野菜園芸大事典』(養賢堂、1977年)、『最新園芸大辞典』(誠文堂新光社、1983年)、『世界有用植物事典』(平凡社、1989年) がある。これらが実際に R. rhaponticum を指すのか、学名が取り違えられているのかは定かではない。Flora of North America は R. rhaponticum がヨーロッパで広く栽培されているとも述べている。 食用ルバーブを純粋種とみなさない著者も多い。1948年にThorsrudとReisaeterは、親種が不明であるという観点から食用栽培品種の総称としてR. × cultorum を提唱した。この名はPROSEA (Plant Resources of South-East Asia) や The European garden flora(Cambridge Univ. press, 1989年) などで採用されている。アメリカ合衆国農務省の農業調査局のデータベースに基づく World Economic Plants: A Standard Reference(CRC press、2016年)は、食用品種が種間雑種であることを明示して R. × rhabarbarum と種名を表記した。英国王立園芸協会は食用に栽培されるほとんどの変種を R. × hybridum と総称している。 食用ルバーブの和名としてはショクヨウダイオウ(食用大黄)やマルバダイオウ(丸葉大黄)がある。後者は一般のダイオウとくらべて葉が丸みを帯びていることからきている。R. rhabarbarum のシノニムである R. undulatum はカラダイオウ(唐大黄)という和名を持つ。
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